Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
マウス胎児への実験的操作を用いて、神経細胞の発生促進効果が報告され、神経細胞産生のkeymoleculeの一つであると考えられているleukemia inhibitory factor(LIF)による嗅上皮の発生成熟促進を試みた。方法は、マウス妊娠14日目の羊水腔にLIFを子宮外発生法によりマイクロインジェクションした後、24時間後に母獣にbromodeoxyuridine (BrdU)を腹腔内投与して、2時間後に安楽死させる。なお、LIFの濃度は1×10^6 unit/ml であり、投与量はコントロール群、LIF 1 μl(羊水中の濃度6×10^3unit/ml)、LIF 10 μl∂(羊水中の濃度6×10^4 unit/ml)を設定した(E14における平均羊水量を0.162mlと算出した)。胎児を摘出し、BrdUで標識したDNA合成期(S期)の細胞を抗BrdU抗体を用いた免疫染色により検出する。定量的な解析を行うために、系統的かつ無作為に選出した組織切片上で、鼻中隔側の嗅上皮のBrdU陽性細胞数をカウントした。対照群には同胞の胎児羊水にLIF抜きの溶媒をタイクロインジェクションし、同様にBrdU陽性細胞数をカウントする。結果は、コントロール群のBrdU陽性細胞数(細胞数/mm)は115.6±28.5、LIF 1 μlでは、128.7±30.2、LIF 10 μlでは149.8±26.1であり、コントロール群とLIF 10 μl群との間に有意差(P<0.01 (Dunnett法)による)を認めた。以上より、LIFは胎生期の嗅上皮発生の成熟促進因子である可能性が示唆された。今後は嗅上皮分化過程のどのレベルに作用するかどうかなどの詳細を検討する予定である。
All 2007 2006
All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)
耳鼻咽喉科免疫アレルギー 24・2
Pages: 89-90