Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
内耳細胞培養を用いたCochlinアイソフォーム発現メカニズムの解明。今年度は、ラット内耳fibrocyteのprimary cultureを用いた研究に着手した。1.我々の作成したCochlinアイソフォーム特異的抗体を用いたウェスタンブロットでアイソフォーム発現パターンを解析した。特異抗体による解析の結果、ラット内耳fibrocyteのprimary cultureではCochlinが非常に微量しか発現していないことが判明した。これは内耳のmicro-environmentがCochlin発現に必須であることを示す結果である。今後Cochlin発現調節の研究に重要な示唆を与えると考えられる。2.そこで、次にCochlinのmRNA発現を検討した結果、やはりmRNAレベルでも非常に微量の発現であったため、PCR産物のダイレクトシークエンシングを行ったところCochlinであることが確認された。今後、この遺伝子発現調節機構を検討する。2.COCH遺伝子発現の調節機構を探るために、内耳からcDNAを合成し、5'-RACE、3'-RACEを用いて異なる転写産物の有無並びに上流のUTR遺伝子配列を決定した。この結果、5'RACEでは一本のバンド、3'RACEでは長さの異なる3本のバンドを認めた。5'RACE産物の配列を解析した結果、転写開始部位はSignal配列の約50base上流、3'RACEでは転写開始点から約700base、約2000base、約2440base下流の3種であった。現在この配列の分子生物学的意義を解析している段階である。