Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
顎関節症滑液に含まれるヒアルロン酸は近年の研究で骨代謝との関連性が示されている。われわれは顎関節症患者滑液内のヒアルロン酸分子量の低下を報告しており,この分子量の低下が病態形成に影響を与える可能性が示唆されている。今研究期間において,破骨細胞に関与する細胞として破骨細胞前駆細胞でおよび破骨細胞指示細胞に及ぼす影響をin vitroで解析した。 破骨細胞前駆細胞RAW264.7細胞および,破骨細胞支持細胞であるST2細胞に対し,種々の分子量のヒアルロン酸を加えて培養を行った。回収したサンプルに関しては生化学的な手法を用いて解析を行った。 破骨細胞前駆細胞RAW264.7細胞培養系では低分子量ヒアルロン酸は破骨細胞分化因子(RANK)誘導下の破骨細胞分化・骨吸収活性を著しく増強させた。この増強効果はRANKLの受容体であるRANKの発現増強を介していた。また,阻害実験によりこの作用はヒアルロン酸の代表的な受容体であるCD44を介することも明らかになった。 一方,ST2細胞培養系では低分子ヒアルロン酸はデキサメタゾン,活性型ビタミンD3刺激下におけるRANKLタンパクの発現を増強させることが免疫蛍光染色・FACS解析にて示された。 また,ヒト顎関節より,採取した滑膜細胞の破骨細胞支持能に対する低分子ヒアルロン酸の影響に関しても,ST2細胞培養系とほぼ同じ結果が得られた。 以上の結果より,顎関節症患者における滑液ヒアルロン酸分子量の低下が骨破壊を介する病態形成に関与する可能性が強く,示唆された。今後,この骨代謝のコントロールに関する研究が難治性といわれる顎関節症治療の一助になることが想定される。
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