Project/Area Number |
18800058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General human life sciences
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
鍋野 由佳 Sugiyama Jogakuen University, 生活科学部, 助手 (10410614)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 若年女性の喫煙 / タバコ煙負荷 / 血管弾性 / 酸化ストレス / 若年者の喫煙率 / 女子大生 / 喫煙動機 |
Research Abstract |
本研究では若年女性に対象を絞り、喫煙の血管弾性への影響を検討するため、慢性的および急性的な影響を血管弾性および酸化ストレスから解析した。 (実験1)脈波伝播速度および酸化ストレスに対するタバコ煙負荷の急性影響 インフォームド・コンセントを得た健常若年女性の喫煙者8名を対象に、点火の有無によるランダム・クロスオーバー法を用いた。擬似喫煙をプラセボ群(P群)とし、実際の喫煙を喫煙群(C群)とした。C群は12時間以上の絶食・禁煙後に、タバコ1本(ニコチン0.6mg、タール8mg)を5秒間吸息、10秒間呼息することを1サイクルとし、最低2分間で5分以内の喫煙負荷を行い、タバコ煙負荷前および負荷10、30、60分後の計4回の採血を行った。なお、被験者には負荷前に15分以上の安静状態を与えた。測定項目は血算生化学検査、酸化バイオマーカーおよび炎症性サイトカイン(血清中NO_<2->、NO_<3->、ニトロチロシン、8-OHdG、PAI-1、hsCRP、レプチン、MPO、PON-1、血漿中TNF-α)、血小板凝集能とした。負荷前および負荷15、30、45、60分後に血管弾性の指標として心臓足首血管指標(CAVI)を血圧脈波検査装置(VaSera;フクダ電子株式会社)を用いて測定した。また、呼気中一酸化炭素濃度(CO濃度)、呼気中%COHb、酸素飽和度も同様に測定した。その結果、酸化ストレスマーカーおよび炎症性サイトカインに差は認められなかった。血管弾性の指標として脈波伝播速度を測定し、CAVIはP群において、負荷前から60分後にかけて有意に減少した。ABIはC群において、負荷15分から60分後まで有意に増加した。一方、P群は顕著な変動は認められなかった。AIでは、C群において、負荷15分から45分後まで有意に低下した。P群においては、負荷15分から60分後で有意に高値を示した。また、P群はC群と比べて負荷15分から60分後まで有意に高値を示した。 (実験2)血管弾性および酸化ストレスに対するタバコ主流煙および副流煙の慢性影響 インフォームド・コンセントを得た健常若年女性51名を対象とし、非喫煙群22名(NS群;21.5±0.52歳)、環境タバコ煙暴露群15名(ETS群;21.4±0.55歳)、喫煙群14名(SM群;21.5歳±0.54歳)を自己申告および血清コチニン濃度によって分類した。NS群、ETS群は12時間以上の絶食後に、SM群は禁煙後の安静時にそれぞれ、血管弾性の指標としてCAVI、ABI(足関節上腕血圧比)、AI(反射圧波)、呼気中CO濃度、呼気中%COHb、酸素飽和度を測定し、採血を行った。その結果、心血管機能の心拍数、SBP、DBPや、血管弾性の指標であるCAVI、ABI、AI、酸化ストレス・マーカーは3群間に差が見られなかった。 【結論】血管弾性の指標であるCAVIでは、急性的にも慢性的にも影響は見られなかった。一方、ABIやAIは、慢性的な影響はみられなかったが、急性影響では、喫煙負荷後に有意な差が見られた。喫煙者(15本/日を6〜10年)のタバコ1本負荷後の急性効果において、AIの有意な上昇が報告されているが、本研究においては、ABIが負荷により有意な上昇傾向を示し、AIはタバコ煙負荷後、有意に低値を示した。これは性別、喫煙本数・年数が報告症例と異なり、かつ若年であるがゆえに血管弾性が大きく、柔軟であるため、小さな身体の変化にも対応してしまったことが原因と考えられる。以上の結果から、喫煙による血圧や心拍数等への影響は見られたが、平均喫煙年数が10年前後と短いことや若年者の血管弾性が高いことが大きく反映し、若年女性において、喫煙による血管弾性や酸化ストレスに対する急性および慢性的な影響は認められなかった。
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