Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
本研究の目的は2部門最適経済成長モデルの最適経路の導出及びその動学を分析することであるが、19年度は18年度に引き続き、特にレオンチェフ型モデルに重点を置いて研究を行った。主な研究成果は以下の2点である。1.分岐点となる割引因子が存在し、それよりも割引因子が小さいとき、オプティマルポリシーがテントマップとなることを証明した。つまり、将来得られる効用をある程度大きく割り引くとき、最適経路が周期解のような複雑な経路を取る可能性を示した。2.分岐点となる割引因子の値は、オプティマルポリシーの傾きによって変動することを示した。より傾きが急なテントマップであるとき、フォン・ノイマンファセットとその双対線との関係から、より周期の数が多い周期解が存在し、これらが最適経路となるような割引因子はより小さくなることを示した。これらの研究成果は、最適経路と将来効用の割引率の関係を明らかにするという本研究の目的に大きく貢献するものである。研究結果は、昨年度から取り組んでいた2つの論文、"Optimal Policy with a High Discount Factor in the Leontief Two-Sector Growth Model: A Dynamic Programming Approach"、"Discount Factor and Optimal Policy in the Leontief Two-Sector Growth Model"としてまとめ、平成19年8月京都・北海道・小樽合同研究会(SWET)、及び平成19年11月に慶應義塾大学数理経済学セミナーにおいて研究報告を行った。また本研究はジョンズ・ホプキンス大学アリ・カーン教授との共同研究の一環であり、19年度は9月に約20日間研究代表者がジョンズ・ホプキンス大学を訪れる形で集中的に研究を行い飛躍的な研究成果をあげることができた。
All 2008
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Journal of Economic Behavior & Organization 66
Pages: 420-436