Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
本年度は、インターネットを利用した実験を実施し、1.情報カスケードが発生しうる状況下における信念更新についての研究、2.他人の行動への同調性についての研究を行った。1.情報カスケードが発生しうる状況下における信念更新についての研究世界の状態(state of the world)が分からないが、それを示唆する私的情報または他の人の行動が逐次的に観察可能な状況においては、人々は信念更新を行ってはいるものの、彼らの事後的信念は、ベイジアン理論が予測しているものよりも有意に低いことが確認された。また、同じ情報量を持つ私的情報と他の人の行動という二つの情報が観察可能な場合、人々は他の人の行動を信用せず、私的情報を過信する傾向があることが観察された。これらの結果は、現実の人間は、ベイジアン理論の想定とは大きく異なる方法で信念更新を行っていることを意味している。2.他人の行動への同調性についての研究他人の行動を観察することが可能な場合、人々は確かに他人の行動に同調する傾向があることが確認された。また人々は、将来の不確実な事象についての意思決定において他人に同調するだけでなく、利他性や社会規範意識といった社会的選好に関する意思決定においても他人に同調することが確認された。更に、同調性の程度と被験者の個人属性を分析した結果、男性よりも女性が、有職者よりも学生が他人の行動に同調しやすい傾向があることなどが確認された。これらの結果は、社会的学習が人々の日常的な意思決定に対して強力かつ多層的な影響を与えていることを示唆している。
All 2007 Other
All Journal Article (1 results) Remarks (1 results)
Osaka University ISER Discussion Paper 690
Pages: 1-27
http://www.iser.Osaka-u.ac.jp/library/dp/2007/DP0690.pdf