Budget Amount *help |
¥2,580,000 (Direct Cost: ¥2,580,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,090,000 (Direct Cost: ¥1,090,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,490,000 (Direct Cost: ¥1,490,000)
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Research Abstract |
平成19年度においては,次のような研究成果が得られた。 第一に,「固有必要的共同訴訟の構造」と題する論文を,井上治典先生追悼論文集に掲載した。この論文では,固有必要的共同訴訟における訴訟当事者,訴訟物,訴訟法律関係が単数であるのかあるいは複数であるのかをドイツ法と比較して論じることを通じて,固有必要的共同訴訟において複数の当事者の共同訴訟が必要であるのは,係争権利関係の処分権能が複数の者に共同して帰属するからであり,また,共同訴訟人の合一確定が必要であるのは,共同訴訟人の一人が訴訟物を単独で処分しないようにするためであることを明らかにした。この考察により,どのような理由からどのような方法で固有必要的共同訴訟の柔構造化をすることが可能であるかという問題の前提を明らかにすることができた。 第二に,「共有の対外的主張における固有必要的共同訴訟の柔構造化」と題する研究報告を,九州法学会第112回学術大会において行った。この報告では,ドイツ人的会社社員除名訴訟は,被除名者以外の社員全員が共同原告とならなければならない固有必要的共同訴訟であるにもかかわらず,判例および支配的見解は,共同提訴を拒む社員が存在する場合にも,他の社員が,提訴拒絶者を被告とする共同提訴への協力の訴えと,被除名者を被告とする除名の訴えとを併合して提起できるとしていることを紹介した。分析の結果,ドイツの主要な見解は,共同訴訟の必要性の原則が係争権利関係の共同処分の必要性にあることを前提に,提訴を拒絶する共同権利者の処分権を剥奪するための実体的要件と手続的要件を考慮していることを明らかにし,日本においても,以上の点を顧慮した解釈論を展開すべきであることを主張した。今後は,同様の問題のあるオーストリア法を参照した上で,日本法における具体的解釈論を提示することが課題である。
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