量子乱流におけるダイナミクスと統計の数値解析および理論的研究
Project/Area Number |
18840036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics II
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 未知数 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 研究員 (50433313)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥1,990,000 (Direct Cost: ¥1,990,000)
Fiscal Year 2007: ¥860,000 (Direct Cost: ¥860,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,130,000 (Direct Cost: ¥1,130,000)
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Keywords | 量子流体 / 量子渦 / 乱流 / ボース・アインシュタイン凝縮 |
Research Abstract |
私の研究目的は超流動液体ヘリウムに代表される量子流体において、その乱流状態である量子乱流を、数値的および理論的に解明することである。量子乱流は粘性流体の乱流と異なり、その構成要素である渦の存在がはっきりしているため、乱流を理解するための理想的な系として現在注目を浴びつつある。私は過去の研究において量子乱流の大規模シミュレーションを行うことに成功し、エネルギースペクトルや量子渦の自己相似的な構造を見出すことに成功してきた。しかし大自由度を有する量子乱流の理解には理論的、数値的なアプローチに加え、実験からのアプローチが欠かせない。そこで今回私は量子乱流を実現する新しい系の模索を行った。現在まで量子乱流を実現した系は超流動液体ヘリウムのみであったが、私は新しい系として、レーザーおよび蒸発によって数nKまで冷却された極低温原子気体ボース・アインシュタイン凝縮体を提唱した。この系は超流動液体ヘリウムに比べ、(1)原子間の相互作用が弱く理論的にアプローチしやすい、(2)ほとんどあらゆるパラメータを実験的にコントロールできる、(3)量子渦の空間配置を直接観測できる、という利点を持っており、量子乱流研究を行う非常に理想的な系であるといえる。私は実際の実験を想定したパラメータを用いたこの系での量子乱流の直接数値シミュレーションを試みた。この系は超流動液体ヘリウムと異なって、流れを加えることによる乱流生成が困難であり、その代わりに2軸・あるいは3軸周りの回転を結合させた歳差回転を用いることによって乱流生成が可能であることを示すことに成功した。シミュレーションによって得られた量子乱流状態は、私が過去に理論計算で得られたものとほぼ同じような性質を持っており、もし実験でこの量子乱流状態が実現されれば、量子乱流の理解は飛躍的に前進するであろうことが期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)