Project/Area Number |
18850016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
隅本 倫徳 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 助教 (40414007)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,620,000 (Direct Cost: ¥2,620,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,310,000 (Direct Cost: ¥1,310,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,310,000 (Direct Cost: ¥1,310,000)
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Keywords | 計算化学 / 溶媒効果 / モンテカルロシミュレーション / 密度汎関数理論 / 分子軌道計算 / モンテカルロシュミレーション |
Research Abstract |
近年、分子軌道(MO)計算や密度汎関数理論(DFT)計算により、様々な化学反応における真空中のエネルギー諸量を計算することが可能となっている。しかし、ほとんどの化学反応は水、アルコールなどの溶媒中で行われている。従って、実際の実験に即した形で化学反応を解析するためには、溶媒効果を含んだ計算を行うことが求められる。本研究では、QM/MC法と自由エネルギー摂動法(FEP)を組み合わせた方法を、Cope脱離反応に適応し、溶媒和自由エネルギー差(ΔG^‡_<sol>)を算出し、SCRF法及び実験結果との比較検討を行った。 真空中298Kにおける活性化自由エネルギーは、12.4kcal/mol、QM/MC/FEP法により得られた溶媒和自由エネルギーを加えると、29.9kcal/molと計算された。この結果は、水溶液中での活性化エネルギーが気相中の値に比べ高くなることを示しており、実験値(31.1kcal/mol)とほぼ一致している。Cope脱離反応の水溶液中での反応物と遷移状態の構造に注目してみる。反応物では反応部位周辺に水溶媒が近づき水素結合を生成しているのに対し、遷移状態では水分子が離れていることから、反応物が溶媒により安定化されていることがわかった。このことが気相中の活性化自由エネルギー値と大きく異なった原因であると考えられる。また、極性のことなる溶媒中(DMSO及びTHF)において溶媒和自由エネルギーを加えた活性化自由エネルギー値は、DMSOで23.8、THFで22.9kcal/molであり、実験値の235、22.2kcal/molとほぼ一致した結果が得られた。これらの計算は、Cope脱離反応が非極性溶媒中で反応加速されるという実験事実を再現しており、この手法で溶媒効果を精度良く見積もることが可能となった。
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