Budget Amount *help |
¥2,820,000 (Direct Cost: ¥2,820,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,410,000 (Direct Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,410,000 (Direct Cost: ¥1,410,000)
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Research Abstract |
2007〜08年に和歌山県太地町の追込み漁で捕獲されたバンドウイルカの消化管試料を用いて以下の成果を得た. 1)胃(前胃,主胃,幽門胃)および腸(小腸,大腸)における10種類のAQP(AQP1〜10)の発現をRT-PCRにより解析した結果,前胃にはAQP-2,3,6,10が,主胃にはAQP-1,2,3,4,8が,幽門胃にはAQP-2,3,8が,小腸および大腸にはAQP-1,2,3,7,8が各々発現していることが示された.また,これらのAQPについてcDNA塩基配列の決定を試み,AQP-2の全長および他のAQPの部分配列を決定した. 2)1)で発現が確認されたAQPについて,免疫組織化学染色法により分布部位を観察したところ,小腸および大腸の吸収上皮細胞において,AQP-1が管腔膜に存在する微絨毛に,AQP-3,8がいずれも基底膜側に分布しており,これらのAQPがイルカの餌からの直接的な水分摂取に寄与すると推察された.この結果はヒトやラットにおける報告と一致しており,鯨類が陸上哺乳類と共通のAQPを用いて腸から水を吸収していることが示唆された.ただし,代表的なイオンチャンネルであり,AQP-1と共役的に働き,水吸収に関与すると考えられるNa^+-K^+-APTaseの分布を調べたが,腸の吸収上皮細胞での分布は認められなかった.また,胃においても複数種のAQP分布が認められ,粘液や胃酸,ペプシノゲンの産生・分泌に各々関与していると考えられたが,胃では水分吸収を担うと考えられる組織学的構造やAQPは観察出来なかった。
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