Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
本研究課題においてイオンチャンネルの辺縁性歯周囲組織炎の制御機構に対する関与について検索するため、実験を行ってきた。18年度に行った実験においては実験動物としてはWistar Ratを用い左側の第一後臼歯に綿糸にて結紮するモデル作成した。一週間後に辺縁性歯周組織炎が惹起し組織学的な変化を認めたが、このモデルでの歯周炎を惹起させた後の血圧変動の傾向を明らかにすることはできなかった。そこで19年度において歯周病菌の炎症惹起成分として代表的な菌体外毒素をもちいて検討した。LPSを投与した群では歯周炎が惹起されることを組織学的に確認した。血圧測定は1時間後、2時間後、6時間後、12時間後、24時間後と行った。LPSを投与した群で血圧の上昇を認めた。高カリウム摂取群とコントロール群についてそれぞれLPSの投与をおこなったところ、高カリウム摂取群ではLPSによる血圧上昇の抑制効果が観察された。また、同ラットについて組織学的検討を行ったところ、高カリウム摂取群では炎症性細胞浸潤の程度が少なく、骨吸収の程度も低かった。ナトリウム摂取群やカルシウム摂取群にはこのような変化は認めなかった。このことからカリウム摂取による歯周炎抑制効果が明らかとなった。LPSの投与によりproinflammatory cytokineの産生とそれに伴う血管内皮機能障害や交感神経系の亢進に伴う血圧上昇が考えられ、またカリウムのもつ交感神経抑制作用や抗酸化作用がLPSによる血圧の上昇を抑制されるものと推測された。またカリウムのもつ抗酸化作用は歯周炎の抑制効果に寄与している可能性がある。現在LPSの投与によるproinflammatory cytokineの産生についてカリウム摂取による影響の検討を行っている。