Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
本研究は、単球由来再生内皮様細胞にT細胞寛容特性を誘導し移入することで、臓器移植後に非特異的な免疫抑制剤を使用することなく拒絶反応を制御する方法を確立することを目的として研究を推進してきた。末梢血CD^<14+>単球から特殊な培養条件下で内皮様細胞に分化/再生させ、T細胞寛容特性を誘導することに成功した。すなわち、CD^<14+>単球GM-CSF、IL-4、血管内皮増殖因子と共に低濃度LPSを培養系に加えることで、内皮様細胞への形態的再生効率が促進した。また低濃度LPS存在下で培養した再生内皮様細胞のフェノタイプを解析したところ、抗原提示能は保持しつつ、T細胞の応答を抑制するPDL-1分子の表出と応答を促進するICOS-ligandの消失を認め、寛容特性が確認出来た。さらに、このT細胞寛容誘導分子を表出した内皮様細胞とアロT細胞を共培養し、T細胞応答抑制効果の有無について、我々の開発したCFSE色素染色法とフローサイトメトリーを応用したリンパ球混合試験(CFSE-MLR)で検討した。その結果、異系間リンパ球混合培養系において、Tリンパ球応答の作動初期に刺激細胞と同系の再生内皮様細胞を添加すると、特異的なT細胞応答抑制効果を認めた。また、再生内皮様細胞とアロCD4^+T細胞との共培養過程において、刺激細胞と同系の再生内皮様細胞と接触したアロT細胞は、CD4^+D25^+FoxP3^+T細胞の出現が多く制御既T細胞が誘導されている可能性が示唆された。以上より、臓器移植後の免疫応答を末梢血単球由来再生内皮様細胞の移入により制御し得る可能性が確認された。