Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
過去のリガンド結合試験や分子モデリングの結果からARBのAT_1受容体への結合部と考えられる候補アミノ酸を変異させたAT_1受容体変異体を作成し、インバースアゴニスト作用におよぼす効果を検討した。構成的活性化AT_1受容体変異体であるN111G変異体をベースとして候補アミノ酸に変異を導入し、インバースアゴニスト作用におよぼす効果を解析したところ、TM3に位置する108番目のバリン(N111G-V108I)、109番目のセリン(N111G-S109T)および113番目のチロシン(N111G-Y113A)、膜貫通領域第4ドメイン(TM4)に位置する163番目のアラニン(N111G-A163T)、TM6に位置する256番目のヒスチジン(N111G-H256A)および257番目のグルタミン(N111G-Q257A)および膜貫通領域第7ドメイン(TM7)に位置する295番目のアスパラギン(N111G-N295A)を変異させた変異体がARBのインバースアゴニスト作用を減弱させることが明らかとなった。次にこれらのインバースアゴニスト作用を減弱させる変異体を組み合わせた多重変異体を作成し、インバースアゴニスト作用減弱効果への相加効果の有無を検討したところ、N111G-S109T-A163T、N111G-S109T-H256A、N111G-S109T-N295A、 N111G-A163T-H256AおよびN111G-H256A-Q257Aにおいてインバースアゴニスト作用減弱効果への相加効果を認めた。これらの結果より、インバースアゴニスト作用はARBとAT_1受容体のTM3、TM4、M6およびTM7への結合により発揮されることが明らかになった。今後はこれらの変異体のARBへの親和性に及ぼす効果を競合的リガンド結合試験にて検討し、また、分子モデリングによりARBとAT_1受容体のドッキングモデルの解析を行い総合的に評価する予定である。