Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
申請者らは2004年にマルファン症候群(MFS)2型の原因遺伝子を単離して以降、全国からMFS症例を集積した(65症例)。MFS及びMFS類縁疾患の原因遺伝子としてこれまでにTGFBR1/TGFBR2及びFBN1/FBN2の4個が知られており集積した症例について網羅的遺伝子変異解析を行った。その結果、MFSの半数にFBN1変異を、約5%にTGFBR1/TGFBR2変異を同定した。TGFBR2変異を有する患者は臨床診断基準を満たす典型的マルファン症候群ではなかった。残りの45%程度の症例では、遺伝子異常を確認できず、その他の原因遺伝子が存在することが示唆された。本研究は責任遺伝子ごとの疾患スペクトラムの決定および変異未同定群における新規遺伝子同定を目的とする。MFS類縁疾患であるビールズ症候群の15症例について網羅的な遺伝子変異解析を行った。これまでFBN2に複数の遺伝子変異が報告されているが、TGFB受容体異常を含めた網羅的解析の報告はこれまでにない。その結果27%(4/15症例)にFBN2の遺伝子変異が見つかった。他の11症例にはいずれの遺伝子異常も同定されなかった。これまでの解析から臨床診断基準を満たす典型的マルファン症候群および重症の心血管症状、軽度の眼症状、顔面小奇形を特徴とするマルファン症候群2型の主要な責任遺伝子はそれぞれFBN1、TGFBR1/TGFBR2であることが示唆された。また心血管系異常を伴わないビールズ症候群の一部はFBN2変異が原因となっている。新規遺伝子同定に関しては、染色体異常inv(14)を合併する症例の解析を行った。具体的には14番染色体長腕逆位の逆位切断点を蛍光in situ hybridization法を用いて解析し、患者の14番染色体長腕逆位の近位および遠位切断点を200Kbまで狭めた。切断点領域には複数の遺伝子が登録されており有力な候補遺伝子群と考える。原因遺伝子であるかどうかの検討は遺伝子変異解析済みコホートを用いFBN1・FBN2・TGFBR1・TGFBR2異常のない症例で当該遺伝子の変異解析を行うことで結論する。
All 2007
All Journal Article (2 results)
Journal of Human Genetics 52
Pages: 1-12
10018514821
American Journal of Medical Genetics 143A
Pages: 694-698