Project/Area Number |
18890224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Dermatology
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
中川 登 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (90412014)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,640,000 (Direct Cost: ¥2,640,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,320,000 (Direct Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,320,000 (Direct Cost: ¥1,320,000)
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Keywords | 皮膚 / 角層 / 病態生理 / 生体分子 / 脂質 / X線回折 / 炎症 / 角化症 / 治療 |
Research Abstract |
人体の表面に存在する角層は、角層細胞とその細胞間を埋める脂質から構成されており、生体を防御する障壁(バリア)として極めて重要な機能を果たしている。角層細胞間の脂質は、セラミド、脂肪酸、コレステロールなどの分子から構成されており、これら脂質分子はその極性に応じて特定の方向に規則正しく配向し、層板状の膜様構造(ラメラ構造)をとると推定されている。しかし、この分子構造は、電顕による形態的観察や、剥離した角層の一部、あるいは再構成した膜モデルのX線回折によって類推されたものであり、生体における分子配向は不明である。従来、生体の角層に直接X線を照射してこれら脂質の分子配向を解析することはX線ビーム幅が広く不可能であったが、昨年度からの本研究により、SPring-8で発生されるマイクロビームX線を使用すれば生体の角層からでもX線回折像を記録可能であることが明らかになった。本年度は、皮膚疾患をもつマウス皮膚表面から真皮側に直径5μmのマイクロビームX線を段階的に照射し、小角X線回折像を記録した。その結果、魚鱗癬モデルマウスの角層では、対照で観察される13nm周期の規則正しい回折像は見られず、角層細胞間脂質分子の配向が不規則で、その周期性も不均一あることが示唆された。アトピー性皮膚炎モデルマウスでは、軽症の皮膚炎部位ではほとんど回折像に異常はないが、重症の病変部では回折像の強度に変動がみられ、周期性の異常が示唆された。以上より、SPring-8で発生されるマイクロビームX線は生体の角層バリアの分子構造を評価する上で、極めて有用であると考えられた。
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