Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
心筋梗塞・脳卒中に代表される動脈硬化を原因とした心血管病による死亡が、我が国の総死亡の30%を占め、依然増加傾向にある。心血管病は、高齢者だけでなく働き盛りに突然発症し社会的損失がきわめて大きいうえ、後遺症を残して長期入院を要することも多く、医療経済の観点からも心血管病の予防対策の確立が重要な課題である。動脈硬化の原因として、「メタボリックシンドローム」が注目されている。メタボリックシンドロームは、肥満を背景に、血圧の高値、高脂血症、耐糖能異常など複数のリスク因子を一個人に合併したひとつの疾患単位である。私たちはこれまでに血管系における動脈硬化形成のメカニズムの解明をめざして研究を行い、鍵分子として転写因子KLF5を同定した。一方、メタボリックシンドローム患者は動脈硬化性疾患を発症しやすいことが臨床的によく知られている。そこで私たちは、メタボリックシンドロームの形成と動脈硬化病変の形成・心血管病の発症は連続したものであり、そこには共通のメカニズムが存在するのではないかと考えた。心血管病の鍵分子である転写因子KLF5がメタボリックシンドロームの発症・進展にも重要なのではないかとの仮説をたて、実験を行った。その結果、全身でKLF5の発現が半分に減少したモデルマウスでは、高カロリー・高脂肪食負荷にてもメタボリックシンドロームを発症しにくいことがわかった。この結果から、KLF5は血管だけでなく、筋肉や脂肪組織など代謝に関連した臓器においても作用し、メタボリックシンドロームの発症と動脈硬化の形成の両者に重要であることがあきらかとなった。
All 2006
All Journal Article (2 results)
Developmental Cell 11
Pages: 93-93
Journal of Biological chemistry 281
Pages: 26602-26602