Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 三角関数の有用性を実感させるために, 三角関数の周期性を利用して, 市松模様のような無限に続く周期的なパターンを数学的に表現する教材および授業展開を開発する。 2. 研究方法 生徒の主体性や協働性が発露される問題解決型の授業とするためにジグソー法等による授業展開の検討を行う。数学的な見方や考え方を生徒自らが活用しようとする姿勢や態度を評価するための評価基準および評価問題を作成する。実践は広島大学附属高等学校において行う。事前事後に評価問題を実施して, 質の変化を測定する。 3. 研究成果 ジグソー法による授業展開の利点として, 問題解決型の学習機会の設定と時間効率の向上が挙げられるが, 問題解決の手立てとして三角関数を利用することが前提となり, その意義を感じにくい欠点があることがわかった。三角関数の他にも連立一次不等式を利用するなど複数の視点を比較し, 三角関数の意義をみいだす展開がよりふさわしいことがわかった。 評価問題については, 事前に三角関数の性質やよさについて知っていることを記述させ, 事後は同じ内容について新たに得た視点を記述させた。その結果, 94%の生徒が新たな視点を記述できており, その内訳は, 62%が三角関数の有用性, 32%が三角関数による表現の多様性, 6%が既習の数学的事項の再発見についてであった。三角関数の周期性が周期的現象の表現に有用であることを伝えることができていると判断できる。一連の授業の最後に, 身の回りの活用例であるフーリエ変換による音声データ圧縮について紹介することで, 数学で学習した内容が, 実社会で活用されていることを実感させることができた。
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