Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, アメリカの家庭科スタンダードや実践を参考しにし, ソーシャル・スキルを育成する実践を開発・実施し, 学習効果を検討することを目的とした, 研究方法については, 大きく分けて2つの段階(現状把握, 実践開発及び実施)で構成されている. まず現状把握として, 2つの視点から行った. 1点目は, アメリカの家庭科における「13.0 Interpersonal relationship(人間関係)」に関する領域の位置付けを把握するため, アメリカ各州の教育省ウェブサイトにある情報を収集・整理した. 結果として, アメリカの家庭科内に「人間関係」に関する領域を含んでいる10州を確認した(村田ら, 2018). 2点目は, アメリカの実践者へのインタビューや実践報告に関する情報を収集・整理した. 対象は, アメリカウィスコンシン州で開催された家庭科教員の研究発表大会とアメリカテキサス州の高等学校家庭科教員へのインタビューとした. 結果として, 頻繁に使用されている「人間関係」についての教科書(McGraw-Hills社の「Interpersonal relationship」など)に関する情報やどのような目的で人間関係を学習させようとしているか(例えば, 予防教育的, 問題解決的な観点など)を明らかにした. 次に, アメリカ家庭科における人間関係の実践を参考に, 実践開発及び実施に関する研究を行った. 人間関係に関する問題解決の理論として, Selmanらが作成したINSモデル(Selman et al, 1986, Yeates & Selman, 1989)に着目した. この理論は, 対人葛藤場面における対人交渉方略(Interpersonal Negotiation Strategy)に焦点を当て, このINSを生むため, (a)問題の定義, (b)方略の産出, (c)方略の選択と実行, (d)結果の評価, の4ステップを設定した. 加えて, 社会的な視点取得(social perspective taking)の発達に基づき, INSの発達段階(レベル0からレベル4の4尺度)を設定している. この理論を用いて, 中学生の人間関係に関する能力(ソーシャル・スキル)を把握し, 課題を発見した(現在投稿中). また, 課題を踏まえた上で実践を開発し, 実践を行った, 効果に関しては現在分析及び執筆中である.
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