Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 小児適応のない医薬品の使用実態の把握と安全性の評価 研究方法 : 【レセプトデータを用いた小児の向精神薬の使用実態の把握】 2005年1月から2015年12月の18歳未満のADHDの診断名(ICD-10コード : F900)を有する患者7,856名を対象に、WHOの解剖治療化学分類で「N : 神経系」に分類される薬剤の処方歴、併存障害の診断名を抽出し、医薬品の処方動向の経年変化、併存障害別の処方動向を解析した。 【自発報告データベースを用いたシグナル検出の妥当性の検討】 Japanese Adverse Drug Event Report database(JADER)を用い、2004年4月から2017年12月の20歳未満の患者データ28,591件を対象に、Global Research in Pediatrics(GRiP)公表のReference Set(Ref)に示された医薬品-有害事象の組み合わせについてシグナル検出を行った。Refの陽性対照におけるシグナル検出結果から感度を算出した(シグナル検出基準はReporting Odds Ratio(ROR)の95%信頼区間下限値>1)。また、添付文書の記載状況とJADERの報告件数やシグナル検出結果との関係性を検討した。 研究成果 : ADHD児に対し、ADHD治療薬以外の向精神薬が処方されている実態が明らかとなり、併存障害の有無が処方薬に影響すると考えられた。リスペリドン、アリピプラゾール、ラメルテオンは、小児ADHDの適応及び小児用量用法を取得していなかったが、年毎のオッズ比は各々1.01(95%信頼区間 ; 0.99-1.03)、1.20(1.16-1.25)、1.32(1.24-1.42)と処方割合は増加傾向または有意な増加を示した。このように適応のない薬剤の処方が増加しており、有害事象のモニタリングが必要と考えられる。その手段の1つにJADERがあり、JADERを用いた小児におけるシグナル検出は、本研究では感度が33.3%と算出され、既報の感度を鑑みると一定の妥当性を有している。また、シグナル検出結果は添付文書の重大な副作用の記載に影響を受けていると推察され、医療上必要な医薬品については、安全性監視の面からも適応外・未承認薬の解消の推進が望まれる。
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