Project/Area Number |
18H00776
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
杉山 祐子 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (30196779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 志乃 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (40881553)
阪本 公美子 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (60333134)
鶴田 格 近畿大学, 農学部, 教授 (60340767)
坂井 真紀子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70624112)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2018: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 在来の技術革新史 / アフリカ農村 / 生計 / 現金獲得活動 / ジェンダー / アフリカ農民の生計 / 社会関係の再編 / アフリカ農民 / 生計活動 / 社会的再編 / 生計と現金経済 / 小規模な現金獲得活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の蔓延により、タンザニア、ザンビアでの現地調査を断念せざるをえず、国内の比較フィールドでも当初予定ほど調査期間が確保できなかった。しかしオンラインで可能な調査項目についての聞き取りや入手可能な資料の収集と分析などの代替的措置を講じ、研究会の実施を通してデータの再検討を含む分析や理論面での検討に注力し、次のような知見を得た。 ①タンザニア、ドドマ地域の村落における近年の現金獲得活動は、土地の慣習的保有者や多数の家畜を保有する富者層とそれ以外の村人の差が大きく、富者層に財の蓄積が進んでいる。一方、非富者層の村人が進めている内部および外部との関係再編による相互扶助やネットワーク形成は、村全体における現金獲得活動と生計の安定に重要な要素である。中間層の村人男性は同世代の土地持ち富者との親族・友人関係をもとに野菜栽培の相互扶助関係を構築し、恒常的な土地利用の安定をはかる。またCSAや環境保全型農業に注目する外部の環境NGOなどとのネットワークを深め、新たな栽培/加工方法や販路構築を続ける女性グループの活動とその組織の発展過程もこの動きの一環と考えられる。 ②現在、苗木栽培は近隣農村の人々の現金収入源であるが、その技術の普及には1980年代のODA植林プロジェクトが契機となっている。植林が成果をあげた数少ない村々では、植林の諸段階で得られる利益を小学校の建設や設備の充実など「共」の利益に還元する活動が組み込まれていた点が注目される。 ③このように、ドドマ地域の農村においては土地などの資源保有の格差は大きいものの、富者による非富者からの収奪ではなく、非富者を起点にさまざまな社会関係の再編が試みられ、新たな共同や相互扶助関係が生み出されることによって、全体の生計の安定が図られている。比較対象としての日本の農村についても、「共」の再編構築に着目した検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、主たる調査地であるタンザニア、ザンビアでの現地調査を断念せざるを得ず、同様の理由から、国内の比較フィールドでも当初予定ほど調査期間が確保できなかった。そのため、当初予定していた当該年度の現地調査計画のうち、直接観察を必須とする項目についてデータ収集ができなかった。 代替措置として、オンラインで可能な調査項目についての聞き取りや入手可能な資料の収集を行った。さらに、オンラインを含む研究会の実施とそこでの議論を通して、これらの資料や過去のデータの再検討と理論面での整理に注力し、中間成果まとめを作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の状況が落ち着いてきたことから、アフリカ農村および日本の地方での調査を加速する。当初計画の実現に不可欠な調査項目にとくに焦点を当てて、集中的なデータ収集をおこない、分析を進める。また比較対象としてきた日本国内での調査成果を合わせて、社会的再編と新たな「共」の構築という視点から検討し、課題研究会の実施による議論の深化を図る。 一方、2020年度の現地調査が不可能となった状況に鑑み、最終年度に予定していた理論的検討を前倒しで進めることができたため、中間成果まとめを踏まえた成果出版の準備に着手する。また国際会議を含む複数の機会を捉えて成果発表を行う。
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