Project/Area Number |
18H03589
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
臼杵 勲 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (80211770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木山 克彦 東海大学, 人文学部, 准教授 (20507248)
佐川 正敏 東北学院大学, 文学部, 教授 (40170625)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥42,770,000 (Direct Cost: ¥32,900,000、Indirect Cost: ¥9,870,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2020: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Fiscal Year 2019: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2018: ¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
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Keywords | 匈奴 / 遊牧国家 / 中枢地 / 生産 / 物理探査 / 窯業 / 中心地 / 探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も、前年度に引き続き、コロナウイルス流行のため、現地調査(発掘調査・遺跡探査・資料調査等)が困難な状況で、モンゴル科学アカデミー考古学研究所の対応も不可能であったため、現地調査が実施できなかった。そのため、前年度に引き続き、文献資料の収集・整理、情報の収集・整理、GNSS測量・3D 計測等を用いた迅速な調査方法の開発実験を行った。遺物の分析については、記録化済の資料を中心に、担当の分担者を中心に作業を進めた。しかし、翌年度には、ワクチン接種の普及、航空路線の再開が見込まれ、現地調査の実施も期待されたことから、現地調査分の経費を繰り越し、調査の再開に備えた。 2022年8月に、モンゴル国トフ県のホスティン・ボラク遺跡群KBS3遺跡窯址の調査を再開した。2019年の調査で中断した瓦窯址遺構を完掘し、その内容・年代を明らかにした。19年度に長径約6mの作業土坑中に窯を構築し、2基の窯が連続的に構築されたことを確認したが、下層の窯址は一部を確認したのみで、規模・形状が不明であった。今回の調査により、2基の窯の形態的特徴、構築方法、利用回数、修築の様相、窯址・灰原の層位的な区分による出土遺物の帰属、暦年代等を詳細に明らかした。 また窯址群の広がりを確認するため、19年度までに実施した物理探査の成果を参考にしながら、周辺の地表調査と試掘を実施し、6カ所の窯址の存在が想定された。うち1カ所での試掘では、発掘した窯址出土品と同范品と考えられる瓦当が出土し、同時期の操業が確認できた。出土品の図化・撮影等の記録作成と整理は、調査中に実施した。以上の成果を活用しながら、瓦作成技術、型式学的検討、周辺遺跡出土品との同范関係等の解明作業を進めた。 研究打ち合わせは、メール・リモート会議を利用して実施し、特にモンゴル側と綿密に連絡調整を行い、2022年度以降の研究計画について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、計画を延長し、22年8月に現地調査を実施した。21年までに行ってきた、調査・記録法の検討を活用し、必要な発掘調査及び確認調査を終了することができた。また、年代測定の資料として100年分以上の年輪を持つ木材の炭化物を採集することができ、ウイグルマッチング法を用いて、年代の絞り込みができたことは大きな成果であり、BC1世紀中の年代を確定させ、同笵瓦を出土する周囲の土城遺跡の年代決定にも、寄与することが可能となった。さらに、周囲の遺構の確認調査により、窯址群の範囲も把握することができた。これにより、コロナウィルス流行による2年間の遅れをおおむね解消することができたと考えている。出土遺物の比較・分析については、中国等での資料調査が行えず、さらに作業を必要としており、2022年度の研究において進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2022年度は、モンゴル国内の他地域での窯業生産遺跡の調査を実施し、ホスティン・ボラク遺跡群との比較検討を行い、匈奴帝国の窯業生産の実態の解明を進める予定である。調査対象は、モンゴル科学アカデミー考古学研究所より、情報提供を受けたアルハンガイ県ハルガニー・ドゥルブルジン城址の近辺に存在する瓦窯址群等の生産遺跡である。春季に踏査を行い、位置・規模・現状等を確認し、発掘対象・遺構分布の把握等を目的とした発掘・測量・確認調査等の詳細計画を検討する。その後、計画に基づき測量・発掘調査を実施し、当該遺跡における窯址の形態的特徴を把握する。同時に、年代測定試料を採取し、時期を確定させる。調査成果の整理と記録化は、調査と並行して迅速に行い、分析・比較を可能とする。 コロナ感染により遅れていた、中国等における資料調査を、状況を見ながら再開し、比較資料を収集し、国外研究者との意見交換を進める。 2020年から発掘調査が開始されているハルガニー・ドゥルブルジン城址出土の瓦等との比較により、技法や同笵関係を確認し、瓦窯と供給地である城址との関係を解明する。さらに、KBS3遺跡出土品や他の土城・集落遺跡出土の製品との比較を進め、匈奴領域内の瓦生産の地域性・共通性、時期的特徴、製品の流通の実態を考察する。研究の最終段階で、研究参加者他による検討会を行い、史料との対比、周辺地域との比較検討も含め、成果の取りまとめを行い、今後の研究の方向性についても検討する。 KBS3遺跡他の発掘・測量成果他、研究全体の成果については、匈奴の瓦生産の実態・変遷、出土資料の比較等の考察も含め、英文を含めた調査報告書を電子媒体の形で刊行し、リポジトリー他で公開する。また、ハルガニー・ドゥルブルジン瓦窯址についても、単年度の成果をまとめ、学会誌等に公表する。
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