Project/Area Number |
18J01110
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Embryonic/Neonatal medicine
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小野田 淳人 名古屋大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 胎児・新生児医学 / 中枢神経系 / 脳脊髄液 / 動物モデル / プロテオミクス / 周産期脳障害 / バイオマーカー / 脳虚血 / モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目標は、周産期脳障害の病態を解明し、その疾患治療に貢献する情報を提供することにある。2年目では、前年度に確立した周産期脳障害の動物モデルを用いて、本課題の主題である脳脊髄液の循環を可視化、その変化を評価した。その結果、同一条件で可視化した偽手術群と比較し、脳全域においてびまん的に脳脊髄液の流出入量が低下していることが示された。この結果から、脳脊髄液中の生体分子の種類に変化が生じていると予想されたため、脳脊髄液を採取し、各種生体分子の網羅的解析を進めた。その結果、脳脊髄液から検出された全601種のタンパク質のうち、出生4日目で140種、5日目で123種、計212種のタンパク質が、周産期脳障害に伴って有意に変動することが明らかになった。212種のタンパク質の機能解析を行った結果、出生4日目に神経細胞およびグリア細胞の分化・成熟、神経新生と細胞死の制御に関するタンパク質群が、5日目においてはシナプス形成、神経回路の発達、行動機能に関するタンパク質群が変動することが明らかになった。さらに、炎症・免疫応答、細胞接着、タンパク質構造の管理を担うタンパク質群が、出生4、5日目に共通して、特に顕著に変動した。変動が認められたタンパク質群の中から、出生4、5日目に共通して増加あるいは減少したタンパク質を抽出した結果、14種のタンパク質が見出された。さらに、この14種のうち、脳での発現が認められるものをHuman Protein Atlasを用いて調査した結果、6種類のタンパク質が見出された。これら6種類のタンパク質の経時的な変化を評価した結果、偽手術群と比較してモデル群において、4種類のタンパク質の存在量が出生14日目まで慢性的に変動していることが明らかになった。本研究により見出されたこれらのタンパク質は、周産期脳障害に伴う神経発達障害の早期予測指標となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展していると言える理由は、2年目終了の段階で、目標で脳脊髄液の循環状態を評価できたことにある。それに加え、脳脊髄液により脳内を循環する各種生体分子の網羅的解析を行い、その中から顕著に変動するタンパク質を見出し、特許出願にまで至ったのは想定以上の成果であった。また、網羅的解析により得られたプロファイルに基づき、病態解明や疾患の発症原理を理解するために必要な知見も得られ、当初計画していた以上の成果を出せたと考えられる。予定よりも早いペースで研究が進行した結果、3年目に行う予定であった行動学的解析に基づいた脳機能解析や、早期診断指標のヒトでの検証、見出した診断指標を活用した新規治療法の確立に向けた研究に、前倒しで乗り出すことができた。ここまで進んだ要因として、これまで長い時間を要していたモデル動物の作製が、手技の習熟に伴って迅速化、さらに安定的な供給が可能になったこと寄与していた。また、解析が可能になるまでに、膨大な時間を要すると想定された脳脊髄液中タンパク質プロファイルの取得を、所属研究機関の他の研究者・技術者と共同で研究を進めることで、想定を上回る速度でのデータの取得ならびに情報学的解析が可能になったことも、想定以上に研究が進んだ要因として大きい。 上記の研究成果に加えて、前年度より始まった国際共同研究により、本研究計画がさらに発展したことも当初の計画以上に進展しているとした根拠である。特に技術的ならびに時間的制約により、当初は実行を諦めていた中枢神経機能の電気生理学的解析や高度な医療機器を用いた脳組織の非侵襲的な器質的な解析を実行できたことは、本研究計画を強く押し進めることに繋がった。以上を踏まえ、2年目では、本研究課題を完遂するために必要な成果を十二分に得ることができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で早期辞退するため、今後の研究の推進方策の記載は不要である。
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