Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
最近、このリソース理論において、Resource theory of asymmetry(以下RToAと略)と呼ばれる新たな流れが生まれつつある。この理論では、「Symmetric operation (=保存則を守る操作)」と「リソース状態」を組み合わせて「Asymmetric operation(=保存則を破る操作)」を実装しようとする際に、どのような操作が実行できるか、それを実装するにはどのようなリソースがどの程度必要か、ということを問題にしている。本年度の前半に、このRToAの領域で興味深いトレードオフ不等式を発見した。与えられた不等式は、保存則のもとでユニタリーダイナミクスを実装しようとしたとき、誤差を小さくしようとすればするほど、要求されるコヒーレンス量が誤差に反比例して大きくなることを示している。この結果は物理学の有力誌であるPhys. Rev. Lett.誌に掲載された他、日経新聞をはじめとしたいくつかの新聞にも記事が載るなど一般にも反響があった。年度の後半に、上記結果をさらに発展させて、保存則の制限の下でユニタリ実装のために必要なコヒーレンス量を、漸近等式の形で求めた。この結果ではユニタリー実装に必要なコヒーレンス量が、実装誤差と、実装されるユニタリーがどの程度保存量を変化させるかの二つだけで記述される。この不等式は、量子力学の基本概念であるコヒーレンスと、物理学の基本概念である保存則の間に、ある普遍的な関係があることを強力に示唆している。またこの結果は量子情報分野、特にresource theory of asymmetryの分野の重要な未解決問題を、漸近等式の形で解決した結果になっている。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Physical Review Letters
Volume: 121 Issue: 11 Pages: 110403-110403
10.1103/physrevlett.121.110403
https://www.uec.ac.jp/about/publicity/media_release/pdf/20180914_1256.pdf