Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
四季がある地域に生息する多くの動物は季節による環境変化に適応するため、季節に合わせた最適な生理機能や行動をとるよう進化してきた。近年の研究より春季感知による繁殖開始の脳内情報伝達経路が明らかとなってきたが、秋季感知による繁殖停止のメカニズムは依然として明らかとなっていない。メダカは秋の短日刺激に応答して繁殖を停止するため、哺乳類の光周性に重要なメラトニンが秋季感知機構に働いていることが考えられた。しかし、メラトニンの影響を検討したところ、投与の有無に関わらず、繁殖が維持されていたため、メダカはメラトニンを介さず、繁殖を停止していることが示唆された。そこで次に長日条件から短日条件へと移行した際の脳の時系列サンプルを用いた網羅的な遺伝子発現解析を実施した。その結果、短日刺激に応じて様々な遺伝子の発現が変動していることが明らかとなった。また、RNA-seq解析よりいくつかの遺伝子はスプライシングパターンを変化させていることも明らかとなったため、メダカは短日刺激により特定の遺伝子の発現を上昇させるとともにスプライシングパターンを変化させ、秋季に適応していることが明らかとなった。ヒトにおいても精神疾患の罹病率が季節と密接に関係していることが報告されている。例えば、季節性感情障害は冬にうつ様症状が出る病気で、季節による環境変化が大きい高緯度地域に発症者が多いが、その詳細なメカニズムは明らかとなっていなかった。我々はメダカを用いて「脊椎動物の季節適応機構」の研究をしている中で、メダカは冬になると社会性が大きく低下するうつ様行動を示すことを発見した。これらの行動変化の分子基盤を明らかにすることを目的として、既存薬ライブラリーのスクリーニングやゲノム機能解析を実施したところ、冬季のうつ様行動を改善する薬を発見し、NRF2によって制御される情報伝達経路の季節変化が重要であることを明らかにした。
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http://www.nibb.ac.jp/press/2019/04/09.html