Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
群れで生活する社会的動物は、群れの結束を維持するために「コンタクトコール」を鳴き交わす。ハンドウイルカは、コンタクトコールに声色とは独立した「指示的な」個体情報を組み込み、それを互いに模倣してコミュニケートしたい相手を呼ぶことがある。つまり、ヒトの名前のように機能している。ハクジラ類において、この機能がどのように進化してきたのかを探るためには、さまざまな種のコンタクトコールを調べる必要があり、申請者は現在カマイルカに着眼している。これまで、カマイルカは「パルスシーケンス」をコンタクトコールに使っていることを明らかにしてきた。この内容については論文にまとめ、当該年度において学会誌Journal of Acoustic Society of Americaに受理された。またThe 6th Annual Meeting of the Society for Bioacousticsでポスター発表した。パルスシーケンスには「タイプ」があり個体間で共有されていたが、個体ごとによく出すタイプが異なるケースもあった。このタイプがどのような情報として機能しているのかを明らかにするために、予定していた水族館とは異なるが新たに新潟市水族館マリンピア日本海で鳴音収録を行った。サンプル数を増やすために飼育個体のパルスシーケンスを収集するとともに、2019年7月に出産があったため仔の鳴音発達についても調べた。仔が母イルカと同じタイプを出すのか、他個体と同じタイプを出すのか、それとも独自のタイプを獲得するのか、などについて現在も調べている。2020年3月時点では仔は様々なパルスシーケンスを出しており、まだ発達段階であると考えられる。今後も録音を行い発達過程を調べていく。また、今後コンタクトコールのプレイバック実験を容易に行えるように、以前に開発した広帯域の再生システムを改良してコンパクトにした。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2019 2018
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)
The Journal of the Acoustical Society of America
Volume: 146 Issue: 1 Pages: 409-424
10.1121/1.5116692
Aquatic Mammals
Volume: 43 Issue: 5 Pages: 538-554
10.1578/am.44.5.2018.538