19 世紀中国の封建国家論と地方分権をめぐる研究―太平天国と督撫重権を中心に―
Project/Area Number |
18K01002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
菊池 秀明 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20257588)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2018: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 太平天国 / 地方エリート / 移民活動 / 械闘 / 広東 / 台湾 / 督撫重権 / 聯省自治 / 湘軍 / 曽国藩 / 李鴻章 / 地方分権 / 軍事組織 / 曽国藩(湘軍) / 李鴻章(淮軍) / 分裂主義 / 封建制 / 自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は引き続きコロナによる影響と、中国における政治情勢の緊迫化と言論統制強化の影響を受け、基本的に日本国内での研究活動を行った。 そのうちまず成果としてあげられるのは、2021年度までの研究内容を総括する形で著書『越境の中国史ー南から見た衝突と融合の三○○年』を刊行したことである。これはフィールドワークと文献史料の統合的な分析に基づくもので、とくに後半部分の19世紀後半の広西、広東、台湾の「械闘」と呼ばれる動乱と社会の再統合、海外への移民活動と地方エリートの成長といった内容は、本研究課題の成果を充分に反映する内容となった。また華南以外の地域についても、2022年度はアルバイトを活用した史料整理とPDF化を進め、その内容を分析して長江下流域の太平天国と外部勢力(ヨーロッパおよび上海小刀会などの反乱勢力)との関係史を論文としてまとめた。 これらの分析から明らかになった点として、これまでの研究で宗教的な政治反乱と見なされてきた太平天国は、実際には辺境の格差社会で行き場を失った下層民(客家)を中心とした武装移民集団と理解できる点であった。また太平天国を鎮圧した義勇軍である湘軍、淮軍の参加者も、社会的上昇をめざしていた新興勢力であったことに違いはなく、両者の違いは自ら「造反」して自分たちが生存可能な新しい社会秩序を打ち立てるか、これの弾圧を行い軍事的功績(軍功)をあげることで既存の秩序の中で成功を目指すかの違いがあったに過ぎない。したがって19世紀の中国を特徴付けた地方軍事勢力の台頭とは、移民による「越境と抵抗」のエネルギーによって支えられていたのであり、その流れは太平天国や械闘などの動乱が終息後、海外へでかけて成功をめざした移民の活動に引き継がれた。そうした移民のなかから孫文という「越境する知識人」が登場し、辛亥革命とその後の中国近代史を形作ることになるとの見通しを述べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
日本国内ではコロナの影響が大きかったが、本研究課題において深刻だったのは、中国の政治情勢が厳しさが増す中、調査および訪問中に拘束される危険が高まったことが挙げられる。これは中国・北京政府との関係で緊張感が高まった中国南部の辺境地帯を扱う研究では極めて深刻な問題で、2019年夏に香港経由で大陸に入ることが突然出来なくなって以来、研究交流をオンラインで行うなどの対策を立ててきた。 だが2022年度もフィールドを同じくする身近な研究者が、「国家安全維持法」あるいは「スパイ活動防止法」の嫌疑で拘束されたことが判明した。報告者(菊池)自身も実は早い段階で国家安全局の監視を受けていたこともわかり、主要な史料収集および研究交流の舞台として中国大陸および香港に置くことは最早不可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年の香港デモ以来、中国で史料調査や研究交流を行う代わりに、台湾など周辺地域での学会に参加し、研究を進めるように交流を深めてきた。また本来は中国大陸をフィールドとして事例研究を進めるつもりだった研究についても、同時期の台湾に類似の事例を見いだし、課題の達成を図るように計画を大幅に変更することにした。 具体的には湖南、安徽といった大陸(長江中流域)の事例の代わりに、台湾巡撫の劉銘傳など淮軍、湘軍出身の洋務派官僚が行った台湾の地域経営を取り上げる。また彼らのもとで台頭した地方エリートである台中の霧務林家、台北の板橋林家などの地域エリートの台頭過程を考察する。 変更後の課題達成のためには一定の時間が必要であり、すでに2度台湾を訪問して準備を進めたが、2023年度の1年で完成させることは難しい。ぜひとも2024年度にも特例としてもう1年間の研究期間延長を認めていただければ幸いである。
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Report
(5 results)
Research Products
(13 results)