イギリス型チャリティのトランスナショナルな伝播に関する研究 1870-1950年
Project/Area Number |
18K01027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金澤 周作 京都大学, 文学研究科, 教授 (70337757)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | セーブ・ザ・チルドレン / 第二次世界大戦 / チャリティ / 救済 / 救貧 / 国際人道支援 / イギリス / 社会福祉 / 比較 / トランスナショナル / チャリティ組織化協会 / イギリス帝国 / セーヴ・ザ・チルドレン / 赤十字 / 戦間期 / イギリス史 / トランスナショナル・ヒストリー / 福祉 / 近現代 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、戦間期から第二次世界大戦期およびその後にかけてのセーブ・ザ・チルドレンの足跡を追う研究を進めることができた。数十年ぶりに、同団体の歴史に関する研究書が刊行され(Emily Baughan, Saving the Children: humanitarianism, Internationalism, and Empire (Univ. of California Press, 2022)、その非常に批判的な修正主義的議論に大いに刺激を受け、史料調査を進めるとともに、イギリス型チャリティの海外伝播の仕方について、自身の思考を深めることができた。その成果の一端は、2023年3月18日に京都大学人文科学研究所の「人物で見る第二次世界大戦」班での研究報告に結実した。第二次大戦期の同団体の実際的な活動の低調と、それと対照的な戦後の活況を、帝国や世界、戦後のパワーバランスをにらみつつ再構成することの重要性を確認できただけでなく、各地で地道に活動するワーカーたちと、ロンドンで活動の灯を絶やさぬために広報などにつとめた団体幹部の両方に目配りする必要性も認識できて、いよいよ本研究をまとめる段階に入ってきたという手ごたえを感じるに至った。 他方、イギリス型チャリティをより広い世界のチャリティ的な事象と対比しながら考察する試みとして、2022年5月8日に東京歴科研第56回大会「生きること」の困難とその「救済」という企画に、コメンテーターとして参加し、日本近世近代史上の救済について、イギリス史の観点から批評を加え、議論をすることができた。また、前年度に慶應義塾大学で開催された「慈善と救貧の比較史」という企画において、拙著『チャリティの帝国』(岩波新書)を受けて諸分野から提供された事例研究に対して応答した拙文は、2022年7月の『三田学会雑誌』115巻2号に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の制約は2022年度のうちに漸次的に緩和され、海外渡航も容易になってきた。タイミングが合わず、今年度に本科研費を用いての海外調査はできなかったものの、私費渡航時に多少史料調査を進めることができたし、関連する研究者たちと学術的な交流を持つこともできた。口頭報告とはいえ、2時間半にわたって人文科学研究所で研究成果を披露できたこと、その後の活発な質疑応答で多くを学び次の課題を具体的にイメージできたことも大きな収穫であった。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
延長していただいて2023年度が最終となる。3月に報告した内容を前期の講義と夏季の史料調査で膨らませて(ロンドン、バーミンガム、可能ならジュネーヴのセーブ・ザ・チルドレン関係の文書館)、論文ないし著書の形でまとめる準備をすすめたい。 とくに、戦間期から第二次世界大戦の後まで一貫してセーブ・ザ・チルドレンの広報を担ったEdward Fullerという人物に注目して、国としてのプレゼンスが低下していく20世紀半ばのイギリスの、一国際NGO団体の活動の意義と限界を、この人物を中心としたネットワーク(各地のワーカーの主要な個人名もわかっている)に即して解明したい。
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Report
(5 results)
Research Products
(13 results)