The Reconsideration of Romanization and the Research on the Integration by the Roman Empire
Project/Area Number |
18K01028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Bukkyo University (2021-2022) Kyoto University (2018-2020) |
Principal Investigator |
南川 高志 佛教大学, 歴史学部, 教授 (40174099)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ローマ帝国 / ローマ化 / 帝国統合 / グローバル化 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度を最終年度としていた本研究は、2020年度に続いて2021年度も新型コロナウイルス感染症の流行のため外国での調査・研究を実施できなかったので、補助事業期間を1年間延長したが、2022年度も新型コロナウイルス感染症の流行が終息せず、外国での調査・研究を実施できなかった。そのため、さらに1年間、補助事業期間の延長を申請して、承認された。 2022年度は国内での研究のみであったが、本研究の主課題のうち、「帝国統合」の問題について昨年度の進展を受けて研究を進めることができ、一定の成果があった。ローマ帝国の支配領域のうち、帝国西半属州、とくにガリア属州の北半分、いわゆる「ガリア・コマタ」地域の「統合」に関しては、先行研究による説明に疑問を持ち、史料と研究史を精査して、この地域の政治統合に関する従来説の根拠が不備であると考えるに至った。1世紀から3世紀までを見通し、現在の考古学的な情報に照らして抽出できるこの地域の個性・多様性を勘案すると、「ローマ化」の進展とともにこの地域でも政治統合が進んだとの説明は明らかに正確ではないことが判明した。この帝国西半属州に関する問題の検討は1つの事例に過ぎないが、政治統合と帝国諸地域が持っている個性・多様性との関係を解明してこそ、ローマ帝国の世界支配の本質を明らかにできるという認識を改めて示すことができた。 今年度の研究はローマ帝国の領域統治の根底に関わる議論を扱ったので、帝国の最盛期と考えられている2世紀の状況の描写にその成果を適用させることができ、この時代のローマ帝国を統治した皇帝マルクス・アウレリウスの生涯を描いた岩波新書『マルクス・アウレリウス ―『自省録』のローマ帝国』に反映させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の2つの主たる課題のうち、「帝国統合」の問題については昨年度と今年度で研究の進展を達成することができており、計画調書段階より観察の視野も議論の射程も広がったといえる。その成果も、昨年度のローマ帝国史の概括的な叙述(『岩波講座世界歴史』第3巻所収の巻頭論文「展望」)と今年度出版の啓蒙書(岩波新書『マルクス・アウレリウス―『自省録』のローマ帝国』)に反映させることができた。 しかし、もう一つの課題である「ローマ化」をめぐる問題は、新型コロナウイルス感染症流行の影響で外国調査ができなかったため、ヨーロッパでの遺跡・遺物の調査と大学での研究をおこなえず、考古学の研究成果の出版物とインターネットによる情報収集しか実施できなかったので、新たな次元へと作業を進めることができていない状態にある。 1年間延長を認められたので、2023年度はこの調査と研究を実施して、「ローマ化」をめぐる問題にも成果を得たいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初の計画では、最終年度に渡英してイギリスの研究者と意見交換し成果をとりまとめる予定であったが、新型コロナウイルス感染症流行のために外国での調査・研究が3年間にわたってできない状態で、2つの主要課題のうち、実地調査が重きを占める「ローマ化」をめぐる研究が立ち遅れてしまった。そのため、イギリスの研究者との意見交換はやむを得ずインターネットで可能な範囲で実施することにし、「ローマ化」問題に関するドイツでの遺跡・遺物調査とドイツの大学での考古学情報の収集に力を入れることにする。 ようやく新型コロナウイルス感染症終息への見通しが語られるようになってきたものの、ロシアのウクライナ侵攻によって生じたヨーロッパ情勢と航空事情の悪化によって、今年度外国での調査・研究が確実に実施できるかどうか明確ではない。しかし、実施するように準備を進めている。これが実施できれば、「ローマ化」をめぐる問題に一定の研究成果を出せると考えている。そして、外国での調査・研究の成果を踏まえて、いまひとつの主課題である「帝国統合」に関する成果と接合し、本研究の結果としてとりまとめたいと考えている。
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Report
(5 results)
Research Products
(7 results)