1848~1871年のドイツ系革命家たちの活動とネットワークに関する研究
Project/Area Number |
18K01050
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小原 淳 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20386577)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2018: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | ドイツ史 / 1848/49年革命 / 帝国創設期 / 亡命 / 転向 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の六年目に当たる本年度は、昨年度から継続して、1848/49年革命に参加した革命家たちのなかでも、欧米各国に亡命した人びとを対象とした研究を行った。 その結果、下記の諸点が明らかとなった。 1.ロンドンに亡命したドイツ人革命家たちは、革命理論の内容、運動のスタイル、誰がイニシアティブを握るかなどをめぐって、しばしば対立が起こり、一枚岩の運動を展開することは難しかった。彼らのうちでも有力だった勢力の一つが、マルクスやエンゲルスを中心とするグループで、彼らは1860年代以降のドイツ本国における社会主義運動に大きな影響を与えるなど、長期的にみれば極めて重要な役割を果たした。しかし彼らと対立したり、距離を取っていた他の革命家たちも一定の影響力を保持し続けており、マルクスらよりも穏当な政治思想をドイツ本国に及ぼし、1860~70年代の自由主義の隆盛に貢献した。 2.亡命先でには、ドイツ人革命家のみならずヨーロッパ各国の革命家・政治家が関与していた。彼らが形成した人的ネットワークについてはさらなる考察が必要だが、こうした国際的な交流はドイツ人革命家たちが自らの政治思想を深化させたり、柔軟性を得るうえで、大きな意味をもった。今後の研究において、こうしたトランスナショナルな人的交流についての考察を深める必要があることを確認した。 3.政治運動の分野を離れ、経済・社会・文化の様々な分野へと「転向」し、かつての革命において掲げた理念を非政治的な領域において追求し続け、市民社会の育成や市民的理念の称揚につながる取り組みを続けた人々を検討した。とくに、文筆家や編集者として大衆メディアの発展に貢献した革命家、労働者に対する福祉を意識しつつ事業を展開した企業家、開明的な教育実践に努めた教育者などがおり、また彼らの交流関係や活動領域はヨーロッパに留まらず、環大西洋規模で展開していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度もコロナ禍の世界的な継続に対する懸念があり、現地での史・資料収集活動ができなかった。しかし、コロナ問題による研究の遅滞を埋め合わせるため、国内で収集可能な史・資料の収集を進めた。 その成果に基づいて、本年度は下記の論文、書籍を執筆した。 「四国地方に存するドイツ関連史跡の総合的検討」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』69、2024年3月。 「「地方史」の編み方、読み方、伝え方―19世紀ドイツの場合」(小二田章編『地方史誌から世界史へ―比較地方史誌学の射程―』所収)勉誠社、2023年6月(ISBN: 4585320288)。 これによって、一定程度の研究の進展をみることができた。また、本年度は昨年度に続き、上述の研究と並行して、Christopher clark, Iron Kingdom: The Rise and Downfall of Prussiaの訳書出版のための準備を進め、最新のドイツ史研究の成果の導入、批判的考察に努めた。同訳書は2024年度中に刊行を予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究成果を踏まえ、今年度は亡命先となった各地における、ドイツ人革命家とヨーロッパ諸国の革命家・政治家の交流を中心的に考察する。 海外での史資料収集作業については、コロナ問題の状況を確認しつつ、柔軟に判断、対応する必要がある。また同様の観点から、国内での史資料収集の方途をさらに模索する。 これまでの研究成果を早稲田大学ヨーロッパ文明史研究所の刊行論文集、また各種の専門誌上において発表することを目指す。 本研究に関連する研究書であるChristopher clark, Iron Kingdom: The Rise and Downfall of Prussiaの訳書出版を行う。 また本研究に密接に関連する最新の研究として、世界的に注目されているChristopher clark, Revolutionary Spring: Fighting for a New World 1848-1849の訳出も、継続して行う。
|
Report
(6 results)
Research Products
(30 results)