Project/Area Number |
18K01192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉岡 政徳 神戸大学, 国際文化学研究科, 名誉教授 (40128583)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ヴァヌアツ / トゥラガ・ネイション / インディジナス / 伝統復興運動 / 伝統と近代 / バヌアツ / 先住民運動 / 土着 / 伝統 / indigenous movement / 伝統経済の自立 / ルガンヴィル / indigenous / 伝統復興 / 先住民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナ状況が改善されたため、ヴァヌアツ共和国でのフィールドワークを実施することができた。9月から10月にかけて、ヴァヌアツのポートヴィラでトゥラガ・ネイション運動について調査することができた。本年度は、暴力事件をおこして裁判にかけられ刑期を終えた運動のリーダーの一人であるヴィラレオがポートヴィラにいるということで、まず彼に会うことを目的の一つとしてポートヴィラに出向いたが、彼はちょうどヴァヌアツを回っているということで会うことは出来なかった。しかしもう一つの目的である、ヴァヌアツの各島の人々の運動に対する認識を調査することはできた。結論から言えば、2019年(前回のフィールドワークの時点)のときよりも、人々の運動に対する関心は薄れてきているということである。運動の本拠地であるペンテコスト島の人々はそれなりの情報をもってはいたが、それ以外の島出身の人々は、この運動にほとんど関心を向けてはいない状況だった。。 そこで筆者は、ヴィラレオが出所した2021年9月から現在まで、運動に関してどういう出来事があったのかを調べるために、ナショナル・ライブラリーに保管されている『ヴァヌアツ・デイリー・ポスト』の記事をつぶさに調べることにした。しかし、運動に関する記事を一つも見つけることができなかった。ヴィラレオが逮捕された段階で、新聞紙上ではこの運動はこれで終わりか?と言われたが、少なくとも現在は休止している状態であると言えるだる。 この運動は、ヴィラレオ以外にヒルダー・リニもリーダーとして活動している。彼女は政党の党首として活発な政治活動を展開しているが、今後トゥラガ・ネイション運動は、ヴィラレオを中心とした伝統偏重の活動は静かになり、ヒルダー・リニが考える伝統と近代の融合を中核とした運動にシフトすると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、コロナ延長が認められ、コロナのために実施できなかったフィールドワークを本年度実施できた点で、順調と言える。しかし完全に順調ではなく「おおむね」順調なのは、研究対象のトゥラガ・ネイション運動の性質がシフトしつつあると思われる現在の段階で、フィールドワークが実施できる予算が残されておらず、現地調査がかなわないという点が不満となっているからである。しかしそれでも現在までの状況を踏まえて、現在編者として『南太平洋を知るための58章(第二版)』を編集中であり、その中で「伝統文化復興運動」などを執筆しており、研究が「遅れている」というわけでもない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を今後推進していくうえで、ヒルダー・リニという政治家を中心とした運動の在り方を追求する必要があろうかと思われる。ヒルダー・リニはパプアニューギニア大学を卒業後、ジャーナリストとしての活動を経て、国会議員、大臣などを歴任するとともに、国連、非核運動でもその名を知られた近代人であり、なおかつ、近代人として伝統文化を把握しなおそうとしている人物でもある。伝統文化にあまりにも重きを置ぎすぎたヴィラレオを中心とした運動は休止状態だが、運動を伝統と近代の融合として捉えているヒルダー・リニの指導する運動は、方向性が変わってくるだろう。つまり、本研究課題を推進していくうえでの彼女を中心とした運動が今後どのように活動を展開していくのかを追跡することが、重要であろうと思われる。
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