Catastrophe and Everyday Politics: Nuclear Refugees and Local Citizenship
Project/Area Number |
18K01193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鄭 幸子 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (20770001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 陽名 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (10790610)
上杉 健志 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (20791114)
大澤 貴美子 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (70804251)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2018: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 植民地主義 / 複合的不平等 / 文化人類学 / フェミニスト・エスニック・スタディーズ / 原発災害 / マイノリティ / 支援 / インターセクショナリティ / 在日コリアン / 複合差別 / 地方 / 教育 / 東北 / 人権 / ジェンダー / 啓発 / Anthropology / Political Science / Sociology / 研究を教育に / 単一民族神話 / 外国ルーツの人々 / 大震災 / 東日本大震災 / 移住 / 地域市民性 / 分岐 / 被害者 / 異邦人 / 政治 / 移動 / 災害 / 当事者 / (半)難民 / 場所性 / 記憶 / Wording / 主体の形成 / 保養 / 多様性 / インターディシプリナリー / アドボカシー / コンフリクトレゾルーション |
Outline of Annual Research Achievements |
学術誌『文化人類学』に、これまでの研究のまとめの一部として査読論文「フェミニスト・エスニック・スタディーズから人類学への提言ーー植民地主義、男性中心主義、複合的不平等の克服に向けて」を投稿した。データ分析にカネヴィンフレームワークを用いることで、複合的に掛け合わされた様々な困難や問題を分解して可視化した。 カネヴィンフレームワークは、複雑さを観察し解体するのに有効だ。カネヴィンフレームワークは、スノーデンらが「複雑で不確実な状況における効果的な意思決定」プロセスを可視化し、意味づけをするのにも有効だ。さまざまな不確実性や複雑さが絡み合う現実世界を読み解くなフレームワークとして、主に五つの領域から構成され、何層にも及ぶ事象が複雑に交差している一見不可解な現実を読み解くのに効果的た。 原発避難者の地域市民性を探る研究を進める中、、政府や社会から押し付けられる困難な日常(例、マクロアグレッションやマイクロアグレッション)を、命を削るように生きてきたエスニック・マイノリティと、カタストロフィを経験し原発避難者として、やはり社会的に周辺化された「被災マイノリティ」、そして彼女たちとの連帯をする市民たちの間に相互サポートなどの関係性が紡ぎ出されていることを発見した。冒頭の論文執筆以前にも、福島原発事故とそこに事故直後から関わっていた芥川賞作家の柳美里氏の取り組みから、(国内)植民地主義という困難な状況を経験し、ジェンダーや貧困や民族差別などが複合的に掛け合わされた困難を、文字だけでなく音声でも地道に発信という活動を分析し、単著、及び共同研究者との共著としてもまとめた。例えば、マイノリティと一言で言っても、「年齢」「民族」「ジェンダー」「家族構成」「雇用状況」などによって原発避難者の経験や実態は多様であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で注目してきた取り組みの一つが、東日本大震災から3年後の2014年3月10日に42世帯107人による提訴だった。緊急時避難準備区域の2世帯、自主的避難等対象区域の34世帯、会津地方の2世帯などが参加した。東京電力福島第一原発の事故後、福島県から岡山に避難した市民らが、国と東京電力に1人あたり1100万円、計11億7700万円の損害賠償を求めた集団訴訟である。本共同研究ではコロナ禍で中断するまで裁判や報告会の傍聴を継続した。2022年9月に結審し2023年3月14日の判決がおりた。奥野寿則裁判長は、国の責任を認めず、東電には緊急時避難準備区域は250万円~300万円、自主的避難等対象区域は25万円~60万円など、慰謝料3095万円の支払いを命じた。しかし福島県会津地方からの避難者については「平穏生活権が侵害されたとは認められない」とした。10年近く審理に立ち会い「生活に値段をつけることは不快だったが、賠償を求めることで原発」のリスクを知らしめるために訴訟を起こしたが、請求した賠償額の20分の1ほどしか認められなかった。控訴予定の原告側の動きに今後も注目したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、岡山市社会福祉協議会 ボランティア・市民協働センターに登録され、「東日本大震災及び福島の原発事故による放射能汚染の被害から子ども達を守るために、避難者や被災地を支援することを目的」としつつ「岡山に避難移住した方の交流や情報交換、福島の子ども達の保養受け入れ、岡山市への移住相談など」を受け付けてきた「こども未来・愛ネットワーク」の活動についても継続して注目する。と同時に今までに私たちの研究からわかったことを踏まえて市民向けにも研究成果を発表する機会を設け、東日本大震災及び福島の原発事故避難者や受け入れ側の市民として関わってきた人たちと共に成果を共有したい。また福島の被災地支援の一環として、自らが描くスケッチを被災地に届ける活動を継続してきた岡山の隣県である兵庫県在住の建築家の曺弘利氏からも、にだからこそ持ち得る豊かな想像力が、一見異なるグループに属するように見えるマイノリティたちの関係性の構築を可能にしていることがわかった。そしてこうした関係性の連なりは更なる広がりの可能性を持っている。
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Report
(6 results)
Research Products
(12 results)