被疑者取調べ記録媒体の実質証拠化と公判中心主義との関係に関する研究
Project/Area Number |
18K01307
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 信太郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (50243746)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 被疑者取調べ / 取調べ録音録画 / 記録媒体 / 供述証拠 / 実質証拠化 / 公判中心主義 / 供述調書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、警察及び検察段階における被疑者取調べ録音録画制度について、その実態を把握し、取調べ時に記録された記録媒体(DVD等)の証拠法上の位置づけ、利用法などについて検討することを目的とする。また、比較の対象として、ドイツにおける捜査手続、刑事手続を参考にしている。刑事裁判において自白は、現在もなお重要な証拠とされ、それだけに、自白の評価を誤ることは、誤判・冤罪の危険に直結する。それゆえ、捜査の段階での取調べはどのように行われているか、またそこで得られた自白は刑事裁判においてどのように用いられるべきか課題を整理し、問題点を解決する必要がある。 自白の信用性の評価を検討するに関し、令和4年度は、従来と同様、録音録画についての我が国の取調べ実態を把握することと、ドイツの実務及び議論状況につき基礎的文献を読むことで知ることに努めた。また、国内における活動として、法曹関係者からの面談を行い、意見聴取を行った。 この期間の研究成果として、一つの事件(上告事案)を素材とし、被疑者本人は自白していないが、第3者が被疑者から聞いたとされる「自白」の危険性について検討し、この問題を補強法則の観点から考察したものを公表した。同事件は、死刑が求刑された重大事件であり、かつ、我が国の捜査機関による取調べに纏わる問題が集約された事件といえるが、まだ取調べ時での録音録画が制度化される以前のものであり、録音録画の重要性や必要性を再確認できる事案であった。事件の検討を通じて、自白の信用性を正確に把握するためには、単に、取調べ段階での録音録画を遂行するだけでは不十分であり、このほかに自白の信用性を裏付ける確固たる証拠が必要であることが認識された。 同事件を分析して得られた知見は、今年度の一つの成果として、古稀記念論文集に寄稿して公表したほか、当該年度に出された刑事裁判例を紹介し、解説する雑誌に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度の研究活動は、前年度と同様に本研究テーマに関する基礎的文献と関連判例の収集に努め、それらの分析と整理を行った。既に令和4年2月には、札幌地区の研究者、実務家による合同研究会において、取調べ録音録画の問題点と記録媒体の証拠法上の取扱いについて報告を行い、それぞれの立場からの意見を得ていたが、オンライン開催だったこともあり、さらに面接調査を実施しようとしたが、コロナ禍の影響が完全に解消されていなかったこともあり、治安維持機関である警察署や検察庁における取調べ室の施設見学などは十分に実施できなかった。 ドイツにおける海外調査については、コロナの感染状況が改善され、ある程度、入国制限が緩和されたとはいえ、対面で面談するには困難な状況が続いていたことと、海外渡航に関する勤務校の渡航自粛制限もほとんど緩和されていなかったこともあり、実施できなかった。したがって、ドイツの実情の把握は、従来と同様に、公刊されている基礎的文献の翻訳を中心として進めざるを得なかった。ただ、令和5年度に入り、コロナ感染対策がほぼ撤廃され、勤務校の海外渡航に関する条件も緩和されたので、それまで遂行できなかったドイツ調査を実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
日本とドイツで公刊された基礎的文献の収集とその分析作業は、引き続き、例年と同様に実施していく。面接調査に関しては、特に、取調べ状況に関するドイツでの関係者に対するインタビューが実施できなかったこともあり、遅れが生じている。ただ、ドイツ、日本両国におけるコロナ感染対策がほぼ撤廃され、また勤務校の海外渡航制限も緩和されたことから、文献などを通じて知り得た情報を基礎として、令和5年前半にドイツ調査を実施する。 国内における被疑者取調べの実態把握についても、従来、あまり実施できていなかったが、これについても令和5年度は、裁判官、検察官、弁護士や警察などの関係者を対象として聞き取り調査を行ない、情報の収集を行う。 令和4年度に本研究テーマについて論文を1本、判例解説を1本、公表しているので、さらに研究課題についての探求を深め、基本文献や面接調査から得た知見をもとにして、令和5年度に検討結果を総括してまとめ、新たな成果として公表する。
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Report
(5 results)
Research Products
(12 results)