企業間取引におけるフォーマル・ルールとインフォーマル・ルール
Project/Area Number |
18K01338
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 真希子 大阪大学, 大学院法学研究科, 教授 (50302641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2018: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | ソフトロー / 規制手法 / 民事法 / ビジネスと人権 / ガバナンス / ハードロー / インフォーマルルール / プリンシプル / ベストプラクティス / 企業法 / トンランスナショナル・ガバナンス / 私法 / 規制ミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の主要な研究成果として、日本法社会学会のミニシンポジウム「法と法をつなぐ <Inter-legality>の解明に向けて」において、パネリストの1人として、「ハードローとソフトロー、ソフトローとソフトローのせめぎあい―日本のコーポレートガバナンスを素材として」と題する報告を行った。このミニシンポジウムは、基礎法や人類学という専攻を大きく異にするパネリストとともに、狭義における「法」に限らず「法的なもの」についての考察を行ったものである。筆者は本研究課題のこれまでの研究で、民事法分野を念頭におき、ハードローとソフトローが多様で連続的なものであることについて研究成果を公表してきたが、本ミニシンポジウムでは、特にコーポレートガバナンスにおける近時の動向を一つの事例として、ハードローとソフトローが相互にどのように関係しているのかについて考察を行った。本ミニシンポジウムは、専攻が異なるパネリストとともに検討することを通じて、異なる視点から対象を見る得難い機会となったが、それを自らの研究に活かしていくのは今後の課題である。 2022年度は、本研究とは別の研究課題の研究として、近時世界的に重要性が高まる人権デューディリジェンスについて検討を深める機会があり、拙稿「EUコーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令案の争点」(法律時報95巻1号45頁)を公表した。人権デューディリジェンスは企業のガバナンスにかかわる問題である。2021年度までに、本研究課題について、民事法分野のフォーマル・ルール、インフォーマル・ルールの関係を「ガバナンス」という観点から分析するという方向性を得ていたが、上記の人権デューディリジェンスの研究から、この方向で進めていくための足掛かりを得て、さらに検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍によって生じた影響が吸収できておらず、進捗が遅れているのは否定できない。しかし、2022年度は、相当程度、通常の研究体制に戻すことができ、本研究についても徐々に研究を進めることができるようになった。今後、本研究の進捗に向けてさらに努力を続けたい。 2021年度までに、本研究の研究課題をより有意義な形に変容させ、民事法分野におけるフォーマル・ルール、インフォーマル・ルールについて、コーポレートガバナンスや企業の社会的責任といった対象領域につきガバナンスという観点から分析するという方向が有益であると判断していた。2022年度には、上記の通り、人権デューディリジェンス、より正確には「ビジネスと人権」(Business and human rights)と呼ばれる分野についての知見を深める機会を得た。これらのことを通じて、本研究課題においては、コーポレートガバナンスのとりわけサステナビリティに関する部分と、ビジネスと人権を具体的な事例として設定し、それらの事例分析を通じて、フォーマル・ルール、インフォーマル・ルールについての理論的な検討を深めていくのが妥当であるという結論を得るに至った。 本研究は、上記のような具体的な対象を事例として取り上げつつも、狙いはあくまで、民事領域を念頭に、多様なルール(規制手法)についての理論的な考察を得ることである。そのため、その分析を行うための仮の枠組みを設定した。今後この枠組みをより確かなものにし、別の領域についても応用できるものとすることが目標である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の進め方として、第一に、コーポレートガバナンスのうちとりわけサステナビリティの分野、およびビジネスと人権に関する情報収集と整理を行う。本研究の研究課題から、これらの分野における各種の規範、その特徴、関係する主体、実効性担保の仕組みと、各種の規範の絡み合い、といった点を主眼にして整理する。 第二に、こうして得られた情報をもとに、民事領域における規制手法について、具体的事例から一段一般性を上げたところの理論的な検討を行う。1つではなく複数(多数)の規範が絡み合って規律が実現されるような領域において、規律の実効性には、規範の性質のどのような点に着目するのが有益か、それぞれの規範の性質に応じてどのような「変数」がどのように関与しているか、それぞれの「変数」にはどのような長所と限界があるかといった点について検討する。これらの点については、民事法以外の分野での研究の蓄積があることから、他分野での先行研究の収集・検討が必要となる。 上記の研究を進めるにあたって、最大の課題は、上記第一の点として挙げた具体的な領域は、現在、実務の動きが著しく速く、日々膨大な量の情報が生み出されているということである。そのため対象を捉えることそのものに大きな困難が予想される。この点についてなんらかの解決策を持っているわけではないが、最終的な目標に照らして現実的に可能なレベルで遂行するよりほかないと考えている。また、もう一つの課題として、理論的な分析を行うにあたり、多くの分野にまたがる先行研究が存在するということである。分野をまたぐため、研究関心が少しずつ異なっており、整理が難しい。この点についても、本研究の最終目標に照らして可能な形で整理を行いたいと考えている。
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Report
(5 results)
Research Products
(5 results)