Project/Area Number |
18K01493
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
小尾 美千代 南山大学, 総合政策学部, 教授 (70316149)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2018: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 脱炭素化 / 気候変動 / 国防総省 / 米中経済摩擦 / フレンドショアリング / ESG投資 / カーボンニュートラル / 機関投資家 / TCFD / 米軍 / エネルギー安全保障 / 気候危機 / Climate Action 100+ / エンゲージメント / ダイベストメント / 再生可能エネルギー / 座礁資産 / グリーン・スワン / アメリカ / ESG / 州政府 / RPS / RE100 / クリーンエネルギー / アメリカ中間選挙 / 州知事選 / 気候変動対策 / アメリカ気候変動対策 / 気候変動リスク / エネルギー戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、気候変動への重要な対応策である再生可能エネルギー(RE)の導入拡大に注目し、二酸化炭素を始めとする温室効果ガス排出大国のアメリカにおけるRE市場の社会的構築の解明を目的としている。分析にあたっては、州政府・主要都市などの政府系アクター、多国籍企業や大手金融機関などの民間経済アクター、米軍を含めた国防総省を中心とする軍事アクターの3つを主な分析対象としている。 アメリカでは2022年8月に史上最大規模と言われる気候変動対策法のインフレ抑制法が成立した他、環境に配慮した投資を行うESG投資も増加している。その一方で、国内で先鋭化している党派対立が脱炭素分野にも及ぶようになり、共和党が強い州を中心にESG投資を規制する動きが拡大している。また、アメリカでは経済安全保障の観点からも中国との経済関係を切り離す(デカップリング)戦略が進められているが、中国は太陽光発電パネルなどRE関連の原材料や部品、製品供給の点で大きな役割を果たしており、アメリカの脱炭素化への影響が懸念される。さらに、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻によって、天然ガスや石油の輸出を外交手段として利用する「武器化」や軍事活動に伴う温室効果ガスの排出が注目されるようになったが、軍事部門は国際的な気候変動対策では対象外とされ、脱炭素化を推進しているバイデン政権でも同様である。その一方で、2022年には陸軍が2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を発表し、海軍が2030年までにすべての電力を二酸化炭素の排出を伴わないカーボンフリー電力とする目標を掲げるなど、積極的な脱炭素化を行っている。 このように、本年度の研究では、現在のアメリカ国内情勢だけではなく、国際情勢との観点からも研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き新型コロナウイルス関係で、海外調査など研究計画を見直す結果となった。今年度は国際学会での報告の機会を得ることができたものの、両親の介護に伴う事情もあり、研究作業の重複から計画を変更せざるを得ず、国防総省による脱炭素化についての論文執筆を先送りにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に沿って、州政府や主要都市の準国家アクター、多国籍企業や大手金融機関などの民間アクター、国防総省および米軍の3つのアクターを主な分析対象として研究を進めていく。アメリカでは2024年11月に大統領選挙を控えて共和党と民主党の党派対立が激化しており、その影響は脱炭素化分野にも及び、ESG投資は価値をめぐる対立としての「文化戦争」の対象となっている。アメリカでは気候変動対策であるインフレ抑制法を国内製造拠点の拡大と関連付けて展開しており、特に中国との関係を含めたサプライチェーンが再構築されている。今後は、大統領選挙の結果を含めて、こうした点に注目して再生可能エネルギー市場の社会的構築について分析し、研究成果を公表していきたい。
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