Project/Area Number |
18K01507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関口 格 京都大学, 経済研究所, 教授 (20314461)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 繰り返しゲーム / 観測オプション / フォーク定理 / コーディネーションゲーム / 不完備情報 / カルテル / 供給制約 / 割当ルール / ゲーム理論 / 多市場接触 / 不完全情報 / ネットワーク外部効果 / 価値財 / 不完全観測 / 経済理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
明示解の導出可能性を基本軸として繰り返しゲームの理論を再構築し、「解けるモデル」と「解ける均衡概念」を提示するとともに、組織の経済学や産業組織論などの経済学的応用に繋げるという本研究の目的に照らして、以下のような研究成果を得た。 1.研究代表者自身が推進してきた、観測オプションのある繰り返しゲームの分析を継続して行った。外生的に与えられた確率で観測が自動的に行われるという、自動観測・観測オプション並存型のモデルを提案し、自動観測確率の減少はプレーヤーの戦略的柔軟性をむしろ高め、フォーク定理のような複数均衡命題が成立しやすくなることを示した。また、定番的な自動完全観測下ではフォーク定理が成立しない無限回繰り返しゲームのクラスにおいて、オプション観測下でのみ成立する均衡によるフォーク定理を証明した。これら研究成果を、それぞれ海外の大学と国際学会で報告した。 2.ネットワーク外部効果のある財の購入・販売問題等に応用可能なモデルである動学コーディネーションゲームに関して、明示解導出のための研究手法を援用する研究を行い、国内のワークショップで報告した。 3.産業組織論の応用研究として、各企業が各期の期初にその期の市場に参加するために必要な費用を払うかどうかを選択し、また費用関数が自社の私的情報となる不完備情報の動学的寡占モデルを、これまでの年度に引き続き分析した。総利潤最大化を達成するカルテル的均衡について、企業間のコミュニケーションに加えて金銭のやり取りも可能にしたとき、その存在条件が大幅に緩和されることを示した。 4.明示解が導出可能な産業組織論のモデルとして、供給制約がある寡占企業によるベルトラン価格競争を、特殊な割当ルール下で分析した。1回限りのゲームの均衡構造の解明に成功し、またこれを無限回繰り返しプレーするゲームの総利潤最大化達成均衡の存在条件とその経路の構造を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繰り返しゲーム理論の多様な論点を基本線にしながら、周辺領域に研究対象を広げつつ、一定の研究成果を積み上げている。 特に、明示解が導出可能な産業組織論のモデルを複数定式化して分析を進めたことは、理論の経済学的応用を重視する本研究において、とりわけ重要な成果になっている。費用を伴う参入の意思決定を含んだ繰り返し寡占ゲームの研究では、企業間のコミュニケーションに加えて金銭のやり取りも可能にしたとき、カルテルすなわち総利潤最大化行動が均衡として達成できる条件が大幅に緩和されることを示し、競争政策上の含意が大きい研究成果となった。また、供給制約がある寡占企業によるベルトラン価格競争を特殊な割当ルール下で分析する研究では、これまで不明だった1回限りのゲームの均衡構造を解明し、その無限回繰り返しゲームバージョンにおける総利潤最大化達成均衡の存在条件を示しつつ、その経路構造を明示的に導出するなど、インパクトのある研究成果になっている。 また、繰り返しゲームの理論の再構築に貢献する研究も、順調に進展している。長らく行っている観測オプションのある繰り返しゲームの研究では、拡張的研究成果を着実に生み出し、査読付き国際学会等で報告可能になるなど、引き続き評価されている。動学コーディネーションゲームに関する研究は、このゲームの均衡構造について明快な特徴付けに成功し、国内のワークショップで報告すると同時に、国際学術誌に投稿可能な論文をほぼ完成させた。 しかしながらこれらの研究成果は、これまでの年度の順調な研究の進展を前提すれば、当然に期待できる成果を実際に得たと判断すべきものである。よって、本研究の内容を更に完成度の高いものにするため、研究期間を更に延長して取り組むことにした。これらの経緯を総合的に判断すると、本研究はおおむね順調に進展していると評価するのが妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの年度で、研究成果の蓄積は十分に行われている。よって最終年度である令和6年度は、これらの成果を学術論文にまとめて、査読付き学術雑誌での掲載を目指す作業に注力する。また、論文の完成のために最低限必要な、対面による研究打ち合わせや学会報告等を行う。具体的な作業内容は、以下を予定している。 1.観測オプションのある繰り返しゲームの研究について、自動観測・観測オプション並存型のモデルにおける有限回繰り返しフォーク定理に関する論文と、定番的な自動完全観測下ではフォーク定理が成立しない無限回繰り返しゲームのクラスについてオプション観測下でのフォーク定理を示す論文にまとめる。 2.動学コーディネーションゲームについての研究を、その均衡構造とその静学的バージョンの利得的特質を関連付ける論文としてまとめる。 3.費用を伴う参入の意思決定を含んだ繰り返し寡占ゲームの研究について、企業間のコミュニケーションだけが可能であるときのカルテルすなわち総利潤最大化を達成する均衡の存在条件を明らかにする論文と、コミュニケーションに加え金銭のやり取りも可能にしたときにカルテルが均衡として達成できる条件が大幅に緩和されることを示す論文にまとめる。 4.供給制約がある寡占企業によるベルトラン価格競争を特殊な割当ルール下で分析する研究を、これまで不明だった1回限りのゲームの均衡構造の解明と、その無限回繰り返しゲームバージョンにおける総利潤最大化達成均衡の存在条件および均衡経路の明示的な導出を主要結果とする論文にまとめる。
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Report
(6 results)
Research Products
(23 results)