Foreign Exchange Policy Reform and Informal Currency Deals in Myanmar
Project/Area Number |
18K01640
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Gakushuin University (2021-2022) Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (2018-2020) |
Principal Investigator |
久保 公二 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (00450528)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2019: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2018: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 非公式な外貨取引 / 外国為替管理制度 / ミャンマー / 外国為替制度改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2012年に二重為替レート状態を解消したミャンマーで、民間企業が非公式な外貨取引を続ける原因の解明を試みるものである。かつて自国通貨を著しく過大評価した公定レートが存在するなか、輸出入企業が輸出獲得外貨を実勢レートにて相対(あいたい)で売買することが黙認されてきたが、そうした相対取引は外国為替管理制度改革後も続いた。2012年の改革によって銀行の対顧客取引が実勢レートで行わるようになったにもかかわらず、なぜ企業が非公式な相対取引を続けたのか、本研究は外貨両替手段の選択の観点から分析する。 これまで本研究では、国境貿易の決済で非公式な外貨取引が多用されていることを確認した。Kubo, Pritchard, and Phyo (2021)で分析した中国への生鮮フルーツ輸出のように、中国やタイといった隣国との陸路での貿易は、ミャンマーの制度上、海路・空路での通常貿易と区別して国境貿易とよばれている。ミャンマー当局は、通常貿易では自国企業の外国との決済に外国為替銀行の利用を課す一方、国境貿易では自国企業が相手国企業と中国元やタイバーツの現金で決済することも容認しており、非公式な外貨取引につながっている。2020年度には、民間部門の貿易に占める国境貿易の割合が、輸出で31%、輸入で19%に達し、その決済に非公式な外貨取引が利用されていた。 しかし2021年2月の軍事クーデタによって、ミャンマーの外国為替管理制度は一変した。景況悪化による外貨不足のなか、軍事政権は輸入規制を次々と強化したうえ、2021年11月から為替レートを固定化し、2022年4月から輸入への外貨割当を導入した結果、公式参照レートと実勢レートのあいだに乖離が生じ、公式な外貨取引の総額が減っている。そこで本研究では、外国為替管理制度改革の後退とその経済への影響の分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、二重為替レート状態が解消されたあとも、なぜミャンマーの企業が非公式な外貨の相対取引を続けるのか解明を試みるものである。本研究では、ミャンマーの民間輸出企業へのアンケート調査を実施して、外貨両替手段の選択にかかる企業の行動についてデータの収集を予定していた。しかし、2020年3月からのCOVID-19によるミャンマーの国境閉鎖と2021年2月の軍事クーデタによる治安悪化のために調査が行えず、分析に必要な企業データが収集できていない。そのため、本研究では、マクロ統計や外国為替管理制度についての定性的なデータを用いて、ミャンマーの外国為替市場の変化を分析してきた。 また2021年2月の軍事クーデタ以降、外国為替管理制度改革が後退し、2021年11月から公定参照レートと実勢レートとの乖離が生じるようになって、本研究の分析の枠組みも変更しなければならなくなった。再発した二重為替レート状態のもとで輸出企業に課される公定参照レートでの外貨供出が実質的な輸出税となる一方、輸入企業への輸入規制と外貨割当は密輸入を喚起しており、外貨の供給と需要の両面で非公式な取引へのニーズが高まっている。そこで、本研究では、外国為替管理制度改革の後退が輸出入企業に及ぼす影響の定性的な分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年2月の軍事クーデタ以降の外国為替管理制度改革の後退によって二重為替レート状態が再発していることから、本研究も裁量的な規制が経済に及ぼす影響に着目してゆく。調査方法に関して、現時点ではミャンマーでの現地調査の目途は立っていない。日本外務省の海外危険情報でミャンマーについてレベル2(不要不急の渡航中止)の勧告が続いているため、ミャンマーでの調査は困難である。そこで現地調査に代えて、ミャンマー中央銀行が公開している金融統計および国際通貨基金や世界銀行のレポートなどの二次資料を利用して、外国為替管理制度改革の後退の定性的な分析を試みている。 これに加えて次年度は、ミャンマーの非公式な外貨市場の一部を形成している労働者郷里送金にも着目する。ミャンマーのタイとの国境貿易の決済は、タイ国内のミャンマー人移民労働者の郷里送金とリンクしていると考えられている。すなわち、国境貿易のミャンマー側の輸入超過が、ミャンマー向けの郷里送金で相殺されている。こうした貿易決済と郷里送金の非公式な仕組みについて、タイ側から調査を試みる。
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Report
(5 results)
Research Products
(6 results)