短期主義・過度な経営者報酬問題への脳実験アプローチ―割引実験を中心に―
Project/Area Number |
18K01934
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山地 秀俊 神戸大学, 経営学研究科, 経営学研究科研究員 (40127410)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅敏 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70186899)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2018: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
|
Keywords | インスラー / 効率 / 公平 / 二重過程理論 / 脳内共通通貨 / トレードオフ / 効率性 / 公平性 / fMRI / 賃金分配意思決定 / 島皮質 / 割引意思決定 / fMRI実験 / 短期主義 / 過度な経営者報酬 / 割引性向 / 底辺への競争 / 割引 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで行ってきた割引行動そのものの脳内賦活の研究は一応の成果を出したので、割引活動に伴う脳内活動の研究の延長で、効率・公平を意識した経営者の賃金決定時の脳内賦活に関する脳実験研究を行い、その分析を行っている。ほぼ分析は終了して最終結果の論文による公表を準備している段階である。 経営者による賃金の決定という状況下での効率と公平概念の影響に関して、まず脳内処理では効率よりも公平の判断を下すときに、経営者(被験者)の脳は、活動が有意な脳部位数が少ないことが分かった。効率判断よりも公平判断のほうが直感的になされているといえる。そうした両概念に基づく判断のキーとなる部位はインスラー(島皮質:insular cortex)であることも判明した。インスラーを基軸にいくつかの脳部位が連携して両概念を判断して賃金水準を決めていることが分かるし、このことはさらに両概念の各々を考慮した意思決定にかかる時間が有意に異なっていることからも推測できる。すなわち効率のほうが余計に時間がかかっているのである。これはカーネマンの二重過程理論とも無矛盾であると思われる。 さらに効率と公平両概念は脳内ではトレードオフとして影響を与えている。そのことは両概念は否応なく貨幣評価を受けていることを意味し、効率を断念したり、公平を断念したりする代償に、公平を獲得したり効率を獲得したりすることになっている。脳内通貨の作用があることがうかがえる。ただし実験は脳内通貨の部位を特定するためのものではないので正確には言えないが、やはりインスラーが脳内通貨機能の一翼を担っていることは指摘できよう。 以上のような発見事項を論文にしているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研の直接的課題は論文として公表しているが、その延長実験の成果が、まだ論文としてまとまっていない。ゆえに(2)の判断になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
論文を書きかけているので、後は、研究成果を際立たせるために、これまでのいくつかの先行研究論文を読んで整理する作業が残るのみである。
|
Report
(5 results)
Research Products
(3 results)