東京府青山師範学校附属小学校にみる「学校と家庭の連絡」に関する史的研究
Project/Area Number |
18K02314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山梨 あや 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (40439237)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2018: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 学校と家庭の連絡 / 学校 家庭 地域の連絡協力関係 / 小学校における保護者向け通信誌の発行 / 集団疎開下における学校と家庭の連絡 / 疎開者による「地域」の発見と認識 / 東京第一師範学校附属国民学校における学童集団疎開 / 疎開受け入れ地域との関係性の構築 / 疎開受け入れ地域間の連絡協力関係 / 学校を取り巻く「地域」の認識 / 従来の学校教育の相対化 / 疎開児童「母の会」の活動 / 「学校と家庭の連絡」の歴史的変遷 / 保護者向け通信誌による保護者の組織化 / 「学校と家庭の連絡」における社会教育的機能 / 1920~30年代における東京府の小学校教育 / 家庭向け通信誌発行の一般化 / 「学校と家庭の連絡」の模索 / 教員と保護者のコミュニケーションの個別化 / 「学校と家庭の連絡」の教育的意義への疑義 / 学校と家庭の齟齬 / 家庭通信発行の嚆矢 / 保護者会の組織とその問題点 / 母の会の組織 / 学校、家庭間の非対称性 / メディアを利用した教育的働きかけ / 戦時下における学校と家庭の関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下二点の研究を行った。 第一の研究は、日本の小学校において家庭向け通信誌を介した「学校と家庭の連絡」への取り組みが始まる経緯を検討するものである。明治10年代に刊行された翻訳学校管理法書籍から1890年代以降の和製学校管理法書籍の中で言及される「学校と家庭の連絡」に関する記述を確認すると、翻訳学校管理法書籍では「学校―家庭―生徒」三者の連絡の重要性が説かれ、家庭(保護者)は学校の要求を一方的に受け入れる存在とは捉えられていない。ところが和製学校管理法書籍では「学校と家庭」二者の連絡関係が強調され、連絡の目的も保護者を対象とした児童教育に関する理解と普及から児童の訓育・躾を含む学校教育内容の定着、児童の個性を踏まえた教育活動の実施へと転換していくことが明らかにされた。また日本で初めて「学校と家庭の連絡」の方策として発行された徳島師範学校附属小学校の家庭向け通信誌を分析した結果、本誌はその後の小学校における通信誌発行に関する一つの原型を提示した可能性が示された。本研究内容は日本教育学会第81回大会において発表した。 第二の研究は、東京第一師範学校男子部附属国民学校(東京府青山師範学校附属小学校)の集団疎開下における学校(疎開学寮)と家庭、(疎開受入れ)地域の連絡・協力関係について、学校及び地域の疎開関係資料、疎開学寮から疎開児童の家庭への通信誌、さらに児童の文集の分析から検討した。本研究からは、疎開生活が疎開受入れ地域間/内に疎開以前より構築されていた連絡・協力関係によって支えられていたこと、児童や教員は自分たちの生活を支える「地域」という存在を発見したこと、その一方で「地域」との関係性は疎開生活が継続する間の一過性のものと捉えられていたことが明らかにされた。本研究内容は日本社会教育学会第69回大会において発表し、『社会教育学研究』第59号への掲載が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校による最初期の保護者向け通信誌の分析を行うとともに、都市における師範学校附属小学校とは異なる意図に基づく「学校と家庭の連絡」のための組織を立ち上げた広島師範学校附属小学校所蔵の史資料の閲覧を行った。東京府青山師範学校附属小学校に関しては大正期以降、特に集団疎開から敗戦に至るまでの「学校と家庭の連絡」の展開過程を明らかにすることが出来たため、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。 研究を進める過程で、東京第一師範学校男子部附属国民学校(東京府青山師範学校附属小学校)の児童が疎開地域に残した文集を発掘するとともに、疎開学寮としていた旅館にも同種の資料が残されている可能性があることが判明した。これらの資料の所蔵調査、確認及びコロナ禍で延期を余儀なくされた疎開経験者への聞き取りを行うことが残された課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
東京第一師範学校男子部附属国民学校(東京府青山師範学校附属小学校)の疎開児童が疎開地域、学寮としていた旅館に残した文集等の所蔵確認及びこれらの資料の所在確認と閲覧、さらにコロナウィルス感染症の蔓延により延期せざるを得なかった、集団疎開経験者の方々に対する聞き取りを行うことが残された課題である。 疎開学寮としていた複数の旅館は現存しているため、疎開関係資料の所蔵確認、また疎開受入れ地域の史資料の確認・閲覧を行い、同校における集団疎開の全容を明らかにしていく。同校における集団疎開経験者への聞き取りについては、コロナウィルス感染症の蔓延状況によっては、対面ではなく文書のやり取りに切り替える方策も含めて検討している。 これまでの研究に加え、上記2つの研究を遂行することにより、東京府青山師範学校附属小学校における「学校と家庭の連絡」への取り組みを、明治後期から第二次世界大戦敗戦までの長期的スパンで明らかにする。
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Report
(5 results)
Research Products
(11 results)
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[Journal Article] 戦時下における「学校と家庭の連絡」2021
Author(s)
山梨 あや
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Journal Title
Proceedings of the Annual Conference of Japanese Educational Research Association
Volume: 80
Issue: 0
Pages: 9-10
DOI
NAID
ISSN
2433-071X
Year and Date
2021-08-16
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Open Access
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