学校臨床問題における保護者と教師の連携プロセス-中間施設と専門職の役割-
Project/Area Number |
18K02586
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
東 宏行 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00425373)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2019: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2018: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 不登校 / 教育支援センター / 適応指導教室 / 教師と保護者の連携 / 居場所づくり / いじめ / 学校臨床 / 連携 / 保護者 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国の教育支援センター(適応指導教室)や民間の中間施設での現地調査を実施し、データ収集した。継続的に訪問している施設のうち、神奈川県内の中間施設には、今年度4回訪問することができた。行事を介した、教員と保護者、学校と家庭の関係づくりのプロセスを整理することができた。また、埼玉県内の中間施設に関しては、4か所の現地調査をすることができた。その他東京都、茨城県、名古屋市内の中間施設の現地調査も実施し、昨年度同様、全体として行政という視点で整理を進めた。整理上の課題類型として、以下3点を見いだしたことが新たな成果である。 1) 教育支援センター専任教員の配置と当事者の経験:教育支援センターへの教員配置の方法は多様である。専任教員を単年度で配置、または複数年度で配置する自治体があるとともに、指導主事、研究員等、立場も様々である。それぞれの利点と課題について整理を進めた。さらに、教育支援センター等で不登校児童生徒への支援経験のある教員が、保護者との連携において特徴的な視点を獲得しているという視点で、データ収集を継続した。 2) ICT・遠隔ビデオシステムを活用した不登校児童生徒への支援と保護者:コロナ禍の中で進展した遠隔ビデオシステムの活用と不登校児童生徒数増加の中で新たな支援方法が展開し始めている。児童生徒への支援は遠隔で実施しながらも、保護者会等は対面で実施する試みが始まっていた。こうした試みにおける学校-家庭関係の特徴を整理する視点を整理することができた。 3) 小学校内の居場所づくりに伴う保護者と学校の関係:不登校児童生徒数増加の中で、小学校内に新たな居場所づくりの試みが展開し始めている。中学校の心の教室(埼玉県ではさわやか相談室)とは異なり、スクールサポーターや学校応援団(埼玉県)等、多様な支援者が関与した支援体制の中での、保護者と教師の関係を一定整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大による活動制限は、昨年度より緩和されたものの、現地調査に一定の限界があった。現地調査は再開することができ、徐々に当初の予定に近づいたものの、教育支援センターにおける重要な行事に人数等の制限があり、十分な資料収集ができなかった。特に、中間施設を活用している児童生徒の担任教師が参加する行事に制限があったため、当初の研究課題に必要な資料の収集に苦慮した。その面では、進捗状況はやや遅れている。 ただし、昨年度より現地調査だけでなく、各中間施設が記録した様々な年報、年間活動報告書類の収集を進め、公的機関による各種調査を活用することにした。また、コロナ禍において、各種意識調査等が行われていることに着目し、教師と保護者の意識調査等を活用した分析も始めたため、その面での分析はおおむね順調という進捗状況である。 一方、想定外の動きがあり、研究課題にアプローチする小項目も追加修正する必要が生じた。想定外の動きとは、第一に、コロナ禍の中で進行したICT・遠隔ビデオシステムを活用した不登校児童生徒への支援活動が試みられたこと。中間施設によっては、メタバースの活用も進み、従来行われていなかった活動が始まったこと。第二に急増する不登校児童数に対応して様々な方策が展開する中で、小学校内の居場所づくり(校内教育支援センター)がひろがり始めたことである。今年度現地調査をした、埼玉県内の4つの中間施設(さいたま市、戸田市)は、これらに該当する中間施設で、今年度開設されたものである。初年度ということで、前例のない試行的な取り組みであったため、分析視点の設定も手探り状態であった。そのため、これらの施設の概要や運営方法を聴取したり、活用している児童生徒の保護者会にも出席させて頂き、分析視点の整理を進めた。こうした点では、当初の計画以上に進展した。 以上から、総じておおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査(参与観察、聞き取り調査等)に関しては、コロナウィルス感染拡大の影響は大幅に縮小する前提で実施する予定である。一方、今年度通り、各中間施設の様々な年報、年間活動報告書類を活用し、制度上の特徴をまとめていくことも継続して行く。これにより、保護者と教師の連携がどのように展開しているのかを、制度面からのアプローチによって、一定明らかにする方法は継続する。また、中間施設に配置された教員(専任教員等)の立場、役割や専門スタッフとの関係、担任等の学校教員と専任教員の関係を中心に制度面からアプローチした分析も継続する。コロナ禍において活発に実施された各種意識調査の活用も継続する。 今後重点的に進めて行く予定の作業は、以下二点である。 1) 今年度から着手した課題、中間施設での専任教員としての経験が保護者と教師の連携に与えた影響について、可能な範囲でインタビュー等を通じて明らかにしたい。この分析を通じて「不登校という学校臨床問題における、中間施設での教育活動を通じた、保護者と教師の連携に係る視点獲得」を課題とした研究成果が期待できると考える。 2) 今年度見いだした、新たな動向のうち、第一にICT・遠隔ビデオシステムを活用した不登校児童生徒への支援と保護者、第二に小学校内の居場所づくりに伴う保護者と学校の関係、この2点についての調査分析を進める。今年度実施した現地調査を継続し、関係者からの聞き取りや運営に係る資料類も活用して、研究を継続する予定である。以上2点に関しては、論稿としてまとめる予定である。 また、昨年度重要な研究対象とした次の3点についても継続的に取り組んでいく。1)中間施設における各種行事における教師と保護者の連携 2)中間施設の専任教員を経験した教師の意識変容(保護者との関係) 3)不登校の子どもを持つ保護者による自主的な支援活動における教師のかかわり。
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Report
(5 results)
Research Products
(10 results)