Project/Area Number |
18K03337
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原 隆 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20228620)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | くりこみ群 / 臨界現象 / 低温相 / φ4モデル / 量子統計力学 / 緩和時間 / phi4乗モデル / 厳密くりこみ群 / phi4模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨界現象の解明は,統計力学の数理的研究における大きな研究テーマの一つである.1970年代に「くりこみ群」のアイディアが物理学者によって確立されてからほぼ10年で,その厳密な研究の一端が完成した.特に,「高温相」から臨界点に近づく際の臨界現象については,ある程度満足の行く厳密な結果が得られた.ところが,系がその「低温相」側から臨界点に近づく場合の臨界現象は,厳密には解明し切れておらず,低温相側からの臨界現象の解明は,臨界現象の数学的解析の中での,大きな未知のフロンティアである. 本研究では,厳密くりこみ群の手法を発展させて,この最後の フロンティアを開拓することを主目的としている.特にイジング模型および関連するφ4模型における,低温相からの臨界現象の解明をめざしている.これまでに内外の専門家と深く議論し,どのようなアプローチが可能か,それらの内包する困難は何か,などを探ってきた.その結果として,当初に想定していたアプローチは,方向としては正しいという確信を得た.ただし,その議論の中で,(当初から予想していたことではあるが)いくつかの困難も当然, 明確になってきた.特に,当初から予想していた「large field の 問題」が,いまだ完全には解決されていない.現在,これらの困難(特に large field の問題)を解決すべく,様々な例にたいして計算を行っている. しかし一方で,この問題と関連した「エネルギー空間でのくりこみ群」のアプローチに3年ほど前に思い至った.この方向での解析を進めた結果,関連した問題(特に量子統計力学における緩和時間の問題)にもこの考え方が有効であるとの確信を得た.これも非常に面白く,かつ現在ホットな話題を解決する可能性を十分に秘めている.そのため,この方向の研究をも精力的に進めており,既にいくつかの成果を得始めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「やや遅れている」最大の理由は,研究そのものではなく,COVID-19の感染拡大,およびそれに伴うオンライン(オンデマンド)授業への対応である.令和5年度は4年目でもあり,状況がかなり改善した.実際,感染対策としては楽になったが,COVID-19以前に完全に戻すには以前の3年間と同様の体力を要した.結果として研究の進み具合は少し遅めになってしまったが,大学教員としての責務を考えれば仕方がなかったと考える. さらに,感染そのものは過去最高に広がったため(知人の研究者などにも海外渡航時の感染者が続出),海外出張を通しての議論をほとんど諦める決断をせざる を得なかった.(唯一の海外出張はシンガポールでの国際会議出席だけである).これも非常に残念であるが,もともと病気になりやすい自分としてはやむを得ないことだったと考えている. (最近,COVID-19についに感染したが,非常に辛かった.この意味で,海外出張をかなり自粛したのは正解だったと思う.) なお,令和2年度後半からは「エネルギー空間でのくりこみ群」の考えにしたがって,理論計算と数値計算をかなり行ってきた.この方向を推し進めて3年半ほどが経過し,かなりの計算結果とデータが蓄積した.その結果として,何が起こっているのかが良く見えるようになってきた.この方向は予期しなかった非常に面白い結果(特に量子統計力学における緩和時間に関する全く新しい知見)につながることが確実である.今年度こそ,COVID-19に余分な力を割かれずに研究を推 し進めたい.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を元に,現在行っている解析を推し進め,問題を解決するのが最大の目的である.特に,large field problem の解決に注力する.そのため,ソフトなφ4乗モデルに関して,様々な方法での解析を継続する.同時に,必要な数値計算も行なって,直感の裏付けを行う. Large field problem に関しては,それ自体も問題なのだが,むしろ,「低温相におけるクラスター展開の収束性」と,「くりこみ群によって低温相のどこまで踏み込めるか」との関わりにも本質的に効いてくる.クラスター展開とくりこみ群解析を並行して更に練磨し,large field problem との関わり合いを深く吟味しながら,この大問題の解決を目指す.ただし,場合によっては,真正面から φ4乗モデルの解決を図るのでは無く,もう少し解決しやすいモデルから解析することも模索する. 一方で,これらとは少し異なるが有望な方向として「エネルギー空間におけるくりこみ群」の研究をさらに推し進める.その知見とこれまでの方法との融合を図って large field problem の解決を目指す.同時に,その意外な応用として,量子統計力学における緩和時間の問題の解析も押し進める.この緩和時間への応用についてはすでにいくつかの結果がまとまりつつある.これは,非常に面白く価値のある結果になることを確信している.
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