Project/Area Number |
18K03348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 豪 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50319208)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 複素解析 / リーマン面 / クライン面 / モジュライ空間 / タイヒミュラー空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、閉リーマン面及び閉クライン面のそれぞれのモジュライ空間の上で定義された最大単射半径関数を研究する。閉リーマン面、閉クライン面上の各点に対して単射半径が定義され、曲面のコンパクト性から単射半径には最大値が存在する。最大単射半径関数とは、各曲面にこの最大値を対応させる関数である。この関数は、モジュライ空間の被覆空間であるタイヒミュラー空間上の関数に自然に持ち上げられるため、タイヒミュラー空間において解析を実行することができる。本年度は、最大単射半径関数の解析をする上で貴重な具体例となる閉リーマン面を調べることに重点を置いた。この関数はモジュライ空間上で最大値を取ることが示され、この最大値を与える曲面を極値的(極値的リーマン面、極値的クライン面)と呼ぶ。昨年度に引き続き、種数3の極値的クライン面を中心に研究を行った。過去の結果により、この曲面は同型を除いて全部で11種類存在していることが分かっており、具体例として採用した。これは向き付け不可能な曲面であるため、この曲面の複素ダブルを取ることにより、向き付け可能な種数2の曲面を構成して閉リーマン面のモジュライ空間の中で解析を行った。閉リーマン面の特徴づけの1つとして、フックス群による表現がある。この複素ダブルで得られた種数2の閉リーマン面のフックス群に対して、その生成元を種数3の極値的クライン面を与える非ユークリッド結晶群(NEC群)の生成元によって構成することができた。また、閉リーマン面の別の特徴づけとして代数方程式がある。これまでに、この複素ダブルは3つの実パラメーターを含む代数方程式で表現されることまで判明した。今回は、種数が2の場合にはポアンカレ級数を利用した方法で代数方程式による表現が実現できるという知見を得ることができ、解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響のため、計画通りに研究を遂行することは難しい状況が数年続いたが、本年度は研究成果発表・研究打合せのための国内出張、海外出張をすることができた。国内外の研究者との議論を対面により行うことができたことは、研究遂行上、大変有益であった。進捗状況は次の通りである。 1.これまでに研究していた写像類によるタイヒミュラー空間への作用に関する論文がアクセプトされた。次年度に出版予定である。2.種数3の極値的クラインの複素ダブルで得られた種数2の対称リーマン面に対して、そのフックス群の生成元を、極値的クライン面を与えるNEC群の生成元を用いて具体的に表示することができた。3.複素ダブルで得られた種数2の対称リーマン面に対する代数方程式による表示について、ポアンカレ級数を利用する方法があるという知見を得たため、その解析を実行した。4.種数2の閉リーマン面のタイヒミュラー空間上の最大単射半径関数を7変数で記述する問題については今年度も継続中である。5.種数3の閉クライン面のタイヒミュラー空間上の最大単射半径関数についての解析も継続中である。このように、進展した部分もあるが、いくつかの問題は継続のままである。これらの状況により、進捗状況はやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた閉リーマン面及び閉クライン面の研究成果を踏まえて、最大単射半径関数の研究を着実に進める。種数2の閉リーマン面に対する最大単射半径関数を7変数で表現する問題の解決を目指すため、コンピュータを活用してフックス群の有限個の生成元に対する基本領域の変形を詳細に調べていく。種数3の閉クライン面のタイヒミュラー空間における最大単射半径関数の解析も並行して行う。また、2つの写像類により生成される写像類群の部分群によるタイヒミュラー空間への作用の結果をさらに進展させて、最大単射半径関数の解析につなげる。 これまでの国内外での研究打合せで得たアドバイスや購入した洋書などを大いに参考にして、研究を進める。特にスペインの研究者とは今後も密接に連絡を取り合いながらアドバイスを受ける。次年度は米国のミルウォーキーで開催されるアメリカ数学会のSpring Central Sectional MeetingのSpecial Sessionにおいて研究成果発表の場を得たので、専門分野を同じくする海外の研究者と議論を行い、新たな知見を得て研究を推進する予定である。
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