磁場中の中性子回折を利用したスピン間に働く交換相互作用の値の決定方法の確立
Project/Area Number |
18K03551
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長谷 正司 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, グループリーダー (40281654)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 磁場中の中性子回折 / 磁場誘起磁気モーメント / スピン / 交換相互作用 / 常磁性状態 / 磁場誘起モーメント / 中性子回折 / 磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目標は、スピン間に働く交換相互作用の値を、汎用的に、簡便に、正確に決定する方法の確立である。現在、Ni2V2O7の研究を行っている。この物質では、TN1 = 6.7 KとTN2 = 5.7 Kで磁気転移が起こるが、磁気構造は分かっていない。2 Kでは8から30 Tの間で1/2量子磁化プラトー(一種の常磁性状態)が見られる。2種類のNi2+サイト(Ni1とNi2)が存在する。スピンの値は1である。3種類の短いNi-Ni対が存在し、それらの交換相互作用をJ1, J2, J3.と表すことにする。交換相互作用の値については幾つかの報告例があるが、J1 = 1.0 K, J2 = -6.3 K, J3 = 78.5 Kが最も確からしい。最も強いJ3相互作用でNi1-Ni1の反強磁性ダイマーが形成され、J1とJ2相互作用でダイマーとNi2モノマーが弱く結合していると考えられる(ダイマー・モノマー模型)。2022年度に中性子回折の結果を解析した。ゼロ磁場では非整合な磁気構造が現れる。TN1とTN2の間の6.0KではNi2モーメントのみが秩序化し、モーメントがbに平行なスピン波構造となる。2.3KではNi1とNi2モーメントがともに秩序化し、モーメントがab面内のサイクロイド構造となる。Ni1とNi2モーメントの大きさは、それぞれ1.62と2.50muBで、Ni1において短縮が見られる。10 TでのNi1とNi2の磁場誘起磁気モーメントはそれぞれ、0.3と1.9 muBで、Ni1では小さい。以上の結果はダイマー・モノマー模型で期待される結果と一致する。スピン・ネマティック相が現れると考えられている6から8 Tで、磁気秩序の存在を示す磁気反射が見られたので、スピン・ネマティック相は無いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績をまとめて論文を書いた。現在、再投稿中で、2023年度には刊行されると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
関連研究として、YbCo2の磁場誘起転移の研究を行う。他のRCo2(Rは磁性希土類元素)とは異なり、ゼロ磁場では1.8Kまでに磁気秩序が現れないので、YbCo2は近藤格子常磁性体だと考えられる。一方、磁場印加によって磁気転移が起こるので、磁場中では、遍歴電子メタ磁性体だと考えられる。このような二重性はf電子系では極めて珍しい。 磁場印加によって磁気秩序が現れるかどうかを研究するために、中性子回折実験を行いたいと考えている。オーストラリアのANSTOでのビームタイムを申請していて、承認されれば、2023年度中に実験が可能である。
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Report
(5 results)
Research Products
(26 results)