ヒト脳機能解明への道程としての異種間移植による遺伝子改変マーモセットの作製
Project/Area Number |
18K06025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42040:Laboratory animal science-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中務 胞 新潟大学, 脳研究所, 助教 (60641579)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | コモンマーモセット / 卵巣 / 異種間移植 / 発生・生殖工学 / 成熟培養 / 体外受精 / 受精卵 / 遺伝子改変 / 発生工学 / 生殖工学 / 受精卵作製 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト脳機能と疾患を理解するうえで霊長類モデルの利点は言を持たないが、多くの研究者が多様な発想で遺伝子改変マーモセットを用いるには経済的・倫理的な障壁があり、現実的に困難である。 そこで、本研究では霊長類脳構造・機能マップ作製に必須とされる遺伝子改変マーモセットを確実かつ低コストで作製する手法を開発している。遺伝子改変マーモセットを迅速かつ低コストで作出する基盤整備ができれば、多様な研究に遺伝子改変マーモセットを提供することが可能になり、我が国の研究発展に貢献できる。 我々は現在、先端モデル動物支援プラットホームにてモデル動物作製支援活動(高品質遺伝子マウス作製)を行っている。また、ラットにおいても遺伝子改変に取り組み複数系統の遺伝子改変ラットを作製してきた。これらの分子生物、発生・生殖工学技術を非ヒト霊長類であるマーモセットに応用し、遺伝子改変マーモセットを作製する。 この目的を達成するためには多数のマーモセット卵子や受精卵を経費と動物福祉の問題を解決して供給する手法の確立が必要である。そこで、他の実験等で安楽殺されたマーモセットの卵巣を異種である免疫不全マウスに移植し、それら移植卵巣より遺伝子改変マーモセット作製に必要不可欠な受精卵の作出を目指している。さらに、産仔になりうる高品質の受精卵を作出しうる異種間卵巣移植方法、得られた卵子の体外成熟培養方法ならびに体外受精後の胚の体外発生方法の確立にも取り組んでいる。 本研究の最終目的は異種移植により得られた卵子を用いたマーモセット産仔作出である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2018年度は遺伝子改変マーモセット作出のネックとなっている卵子や受精卵の採取に関する問題をマーモセット卵巣の異種間移植により解決すべく、マーモセット異種卵巣移植による卵子採取法の確立を目標とし、ラット卵巣を免疫不全マウスに移植することにより基盤研究を行った。これにより、卵巣の移植部位は生着率、採材の簡便さより腎被膜下が適切であることが明らかとなった。また、マーモセット卵巣を遠隔地より既存の配送システムを用いて運搬するために、卵巣の冷蔵保存期間についても検討し、2日間4℃冷蔵保存後の卵巣でも90%以上の組織がマウス腎被膜下へ生着することが分かった。さらに、緩慢凍結法および簡易ガラス化法にて凍結した凍結融解卵巣は生着し、得られた卵子は受精能を有していた。 2019年度はこれらラットより得られた基礎データをもとにマーモセット卵巣の異種移植を行った。マーモセット卵巣の生着率は移植するマーモセットの年齢、安楽殺までの実験歴、死亡または安楽殺の理由等、個体差が大きく、安定した採卵条件の確立には複数のマーモセット卵巣を免疫不全マウスへ移植し、データの蓄積が必要であることが分かった。また、ホルモン投与経験があるマーモセットで、安楽殺前に性ホルモンによる卵巣刺激反応の良いマーモセット卵巣は異種間移植後も卵巣刺激への反応が良く、反応が悪いマーモセットは異種卵巣移植後も卵巣刺激に対する反応が悪い傾向が認められた。さらに、卵巣刺激のためのホルモン投与開始から採卵までの日数を昨年までの10日から半分の5日まで短縮できた。そして、マーモセット受精卵が得られた際の受精卵移植用の雌マーモセットの性周期管理も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマーモセット卵巣を移植した免疫不全マウスへの卵巣刺激法のさらなる短縮を検討する。また、移植するマーモセット個体差による採卵率のばらつきのより少ない卵巣刺激方法の確立を目指す。さらに、卵巣保存方法においてもヒト卵巣凍結保存法を参考に安定した凍結卵巣保存方法の確立を目指すとともに、融解方法が移植後の卵巣へ及ぼす影響について検討していく。入手したマーモセット卵巣を移植し、移植した免疫不全マウスの膣開口までの日数、移植卵巣片の生着率、卵胞数、成熟培養効率、受精率とのデータを蓄積する中で、移植するマーモセットの年齢による移植適齢期を調べるとともに、胎児や新生児、1歳以下の未成熟マーモセット卵巣においても採卵の可否を調べていく。 マーモセット卵巣は入手困難で、さらに、譲渡いただいたマーモセットの年齢、計画殺までの実験履歴など卵巣の品質には個体差が大きい。本研究の最終目的である、異種間卵巣移植によるマーモセット産仔の作出にはラットや他の比較的入手が容易なウシなどの家畜を用いた基礎研究が必要である。 ラットや家畜で得られた基礎研究結果がそのままマーモセットへ応用しうるものであるかは不明ではあるが、マーモセット卵巣移植の技術向上や、個体差の少ないラット等の実験動物を用い、冷蔵保存期間、凍結保存方法、凍結融解方法や卵巣刺激方法の検討を進める。 マーモセット卵巣が得られた際には基礎研究にて得られたベストな条件にて異種卵巣移植、卵巣刺激法、体外成熟培養、体外受精および受精卵の体外培養系の確立に着手し、産仔作出に取り組む。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)