Project/Area Number |
18K06150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野亦 次郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (40583216)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 酸素 / 変異 / ヘム / シアノバクテリア / 蛍光タンパク質 / 光合成 / 酸素ダイナミクス / 窒素固定 / 嫌気 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子状酸素(O2)は、生物にとって最も重要なガス分子の1つである。酸素は呼吸、免疫、活性酸素種の生成、クロロフィル生合成など多様な生化学反応において利用される。また、酸素が転写因子や酵素を直接的に活性化(不活性化)するなど、シグナル分子としてはたらくことも報告されている。しかし、生体内の酸素濃度やその変動に関する知見は今日でも限定的である。 糸状性ラン藻Anabaena sp.PCC7120(A.7120)は、窒素固定能を有し、窒素欠乏条件下におかれると細胞十数個おきにヘテロシストと呼ばれる異化細胞を分化する。ヘテロシストは、酸素感受性の窒素固定酵素ニトロゲナーゼを酸素から保護するため、その内部を低酸素化すると考えられているが、ヘテロシスト分化において細胞内が低酸素化されていく過程はこれまで明らかにされていない。申請者は昨年度、細菌に由来する天然の酸素センサータンパク質(DosP; Direct oxygen sensor protein)のヘム結合領域(DosH)と蛍光タンパク質を組み合わせることで、細胞内の酸素濃度をモニター可能な蛍光タンパク質プローブを作成し、in vitroにおける酸素の検出や酸素濃度定量に成功した。この新規の酸素センサータンパク質を ANA(anaerobic/aerobic sensing fluorescence protein)と名付けた (Nomata and Hisabori,2018, Sci.Rep.)。本年度は、ANAのin vivoでの利用に向けた改変を行い、酸素存在下におけるシグナル変化率の大幅な改善、およびプロテアーゼ耐性を付与に成功した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、細胞内の酸素濃度をモニター可能な蛍光タンパク質プローブを開発し、このプローブを用いて、窒素固定性ラン藻Anabaena sp.PCC7120(A.7120)の異化細胞ヘテロシストが形成される過程で細胞内酸素動態がどのように変化するのかを調べることを目的とする。本年度は、既に開発した酸素センサータンパク質ANA(Nomata and Hisabori,2018, Sci.Rep.)をベースとし、in vivoでの使用に向け様々な改変を加えた。まず、ANAの酸素存在下での蛍光強度変化は1.7倍でありin vivoにおける観察には充分とは言えなかったため、酸素存在下におけるシグナル変化率を改善しようと試みた。様々な変異を加えた変異型のANAを大腸菌において発現させ、精製して酸素存在下におけるシグナル強度変化を調べたところ、変異型ANAの1つ(ANA-5)は240μMの酸素存在下において2.5倍以上のシグナル強度の増加を示した。次に精製したANAタンパク質を詳細に解析したところ、ANAはバクテリア細胞に内在するプロテアーゼによって部分分解を受けることがわかったので、ANA-5をベースとし、新たに様々な変異を導入してプロテアーゼに耐性を示す変異型ANAを選抜した。その結果、80%以上が分解を免れる新たな変異型ANA(ANA-153)を作出することに成功した。 以上から、本研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は開発した酸素センサータンパク質ANAのin vivoでの使用に向け、様々な試行を行い改変を加えることで、シグナル変化率の改善およびプロテアーゼ分解耐性を示す、改良型のANAを作出することができた。今後はこの新規ANAをコードする遺伝子をラン藻A.7120に導入して組み換え株を単離し、この組み換え株を利用して細胞内酸素濃度をモニターする系を確立する。 また、マルチカラー観察に向けた、蛍光色の異なるANAの開発も同時に行う。
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