コバイモ類の種分化:花形態と系統の不一致の要因・独特な分布パターンの成因を探る
Project/Area Number |
18K06379
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
布施 静香 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30344386)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 実 京都大学, 理学研究科, 教授 (20227292)
高山 浩司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60647478)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | コバイモ節 / 日本固有 / 分子系統 / MIG-seq / 花形態 / 訪花昆虫 / 絶滅危惧植物 / スプリング・エフェメラル / コバイモ亜属 |
Outline of Annual Research Achievements |
コバイモ節(コバイモ類)Fritillaria sect. Japonicaは、ユリ科バイモ属の多年生草本で日本固有種のみから構成される春植物(スプリング・エフェメラル)である。 昨年度までの研究により、本節内に2つの系統(染色体基本数がX=11とX=12の系統)が存在し、それぞれの系統に分かれた後に3タイプの花形(筒形、広鐘形、傘形)が分化したことが明らかになった。さらに、葉緑体の塩基配列による分子系統とMIG-seq法による種間・集団間の遺伝的交流程度の結果を照らし合わせることにより、コバイモ節各種において葉緑体系統と核系統の不一致がどのようにして起きたのかを推定することができた。そして、従来8種2雑種とされてきたコバイモ節植物は、8種、2種内分類群、3雑種を認めることが適切であると考えられた。また、本節のいくつかの植物では、ハナバチ、ツリアブ、ハネカクシ等の訪花が明らかになり、これらの昆虫の体表面にはコバイモ節植物の花粉が付着している事が確認された。 今年度は、これまでのDNA解析の結果、現在は同種と考えられているものの、葉緑体または核の系統が互いに異なるグループについて、追加のDNA解析(葉緑体塩基配列を用いた分子系統解析、MIG-seq法によるゲノムワイド解析)を一部行った。その結果、コバイモ節の複雑な種分化経路をより詳細に推定することができた。また、過去の種間交雑によって成立したと推定された集団において現地調査を行った。その結果、少なくても現在は正常な結実・種子生産が行われていることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コバイモ節全種を対象とした葉緑体系統樹を構築することによって、本節内に2つの系統(染色体基本数がX=11とX=12の系統)が存在し、それぞれの系統に分かれた後に3タイプの花形が分化したことが明らかになった。さらに、葉緑体の塩基配列による分子系統とMIG-seq法による種間・集団間の遺伝的交流程度の結果を照らし合わせることにより、コバイモ節各種において葉緑体系統と核系統の不一致がどのようにして起きたのかを推定することができた。また、コバイモ節植物は、8種、2種内分類群、3雑種を認めることが妥当であることが判った。また、私たちの分子系統解析により、コバイモ節は筒形の花が祖先的であると推定された。また、ホソバナコバイモについて、送粉に寄与していると考えられる訪花昆虫の種類を明らかにした。これは、筒形の花を持つコバイモ節植物の訪花昆虫の初報告である。 一方で、追加でサンプリングした個体のDNA解析を完全には終えることができず、分類学的整理に至らなかった。よって、全体の評価としては上記区分となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
追加でサンプリングした個体のDNA解析を行ってデータを補完し、系統関係と種間・集団間の遺伝的交流の程度、外部形態形質に基づいて、コバイモ節の分類学的整理を行う。 本研究で得られたコバイモ類の系統関係、遺伝的交流の程度、形態、訪花昆虫(送粉者等)の各情報を総合し、コバイモ類の花形と系統の不一致の要因と、独特な分布パターンの成因について考察する。
|
Report
(5 results)
Research Products
(6 results)