消化管平滑筋の多様性を生み出す細胞間相互作用および分子機構の解析
Project/Area Number |
18K06845
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48010:Anatomy-related
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
石井 泰雄 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20582430)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10367089)
浦瀬 香子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40349642)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 発生 / 消化管 / 平滑筋 / 組織間相互作用 / 内胚葉 / 臓側中胚葉 / 自律神経系 / Eph / ephin / ephrin / 消化管運動 / 神経系 / 器官発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
口から摂取した食物は、消化管壁に配置された平滑筋の運動によって肛門に向かって運ばれる。平滑筋の分布や運動が器官ごとに異なることはよく知られているが、このような違いが明瞭な器官境界を持たない初期の臓側中胚葉から生じるしくみはよくわかっていない。昨年度までの研究でわれわれは、将来小腸の壁をつくる臓側中胚葉が、胃の環境に置かれると、腸固有のEphA3陽性の輪走筋の代わりに食道や胃に見られるEphA3陰性の輪走筋を形成することを明らかにした。この結果は、腸固有の平滑筋の形成に腸固有の周囲環境が必要であることを示唆している。2022年度はこの周囲環境に関する詳細な解析を行った。
発生の過程を通じて臓側中胚葉と行動を共にする内胚葉は、平滑筋の分化に影響を及ぼす組織の有力な候補である。その可能性を検討するため、内胚葉の移植実験および培養実験を行った。移植実験においては明確な結果を得られなかったが、培養実験において内胚葉が平滑筋の器官特異性に影響を及ぼすことを示唆する結果を得た。胃の中胚葉を腸の内胚葉と共培養したところ、EphA3陽性の平滑筋が分化したのである。加えて、この胚葉間の相互作用が、消化管完成前の若い組織に限って見られることもわかった。中胚葉が内胚葉の器官特異性をもたらす例はよく知られているが、その逆を実験的に示した新たな発見と言える。
上記の相互作用の詳細を明らかにするため、未分化な胃中胚葉および腸中胚葉にそれぞれ発現するBarx1とNkx2.3の発現を解析した。移植実験の結果、胃の環境に置かれた予定腸中胚葉が本来発現しないBarx1を発現すること、そこにはNkx2.3の顕著な発現が認められないことがわかった。内胚葉の作る周囲環境が、臓側中胚葉の部域化を介して平滑筋の器官特異性に影響を与えるというモデルが考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度行った移植実験により、臓側中胚葉を取り巻く環境要因が、EphA3陽性の腸固有の輪走筋の発生に影響を与えることが明らかとなった。それらの実験は、将来小腸の壁を形成するウズラ臓側中胚葉をニワトリ胚の胃に移植するというものであった。しかし、その後の実験ではいくつかの困難に直面した。その一つは、内胚葉を移植する実験では期待された影響が見られなかった点である。何度か試みたのち、ドナー由来の内胚葉とホスト由来の内胚葉が移植先で共存することが結果を不明瞭にする原因となっている可能性に気づき、培養実験にシフトすることとなった。初期の小さな消化器原基を正確に取り出し培養する困難はあったが、方法を確立し、ポジティブな結果を得る結果となった。もう一つは、胃の中胚葉を腸に移植すると、移植片の細胞が活発に遊走し、平滑筋層にほとんど寄与しないという点であった。完全な解決策を見い出すことはできなかったが、早い時期から発現するBarx1やNkx2.3の発現をマーカーとして用い、短い孵卵期間ののちに解析することで、この問題を回避する見通しがついた。本研究の進行はやや遅れており、上記の問題の解決にも相当の時間を要したが、平滑筋の器官特異性に与える内胚葉の影響が明らかになりつつあり、結果を論文として公表する展望が開けた1年であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
正常発生におけるEph, ephrin遺伝子群の発現パターン、平滑筋の器官特異性に関わる組織間相互作用に関するデータはおおむね揃っており、いずれも本年度中に論文発表を行う予定である。
|
Report
(5 results)
Research Products
(9 results)