Project/Area Number |
18K12187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Waseda University (2019-2023) Gunma Prefectural Women's University (2018) |
Principal Investigator |
長坂 真澄 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (40792403)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2019: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2018: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 純粋現実態 / 宇宙論的証明 / 積極哲学 / カトルー・プロトロジー / カトルー・ティノロジー / 無限 / 不動の動者 / 作用因 / 存在論証 / 存在神学 / 形而上学 / 形而上学的経験論 / 思考以前の存在 / 汎通的規定 / 分有 / 神の存在証明 / 現象学 / 形相に先行する事実 / 超越論的過去 / 可傷性 / 超越論的図式論 / あらゆる可能性に先行する現実性 / 論理的偶然性 / 実在的必然性 / 存在論的証明 / 異他触発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランス語圏の現象学、また現象学と深い関わりを持つ思想が、カント哲学を継承することにより、いかに古来からの独断的な形而上学――無限(神)を認識の対象として措定する存在神学――へと舞い戻ることなくして無限を語るかを探究するものである。この目的のため、本研究はカント哲学のフランスにおける受容の検討を出発点としたが、その後の研究により、カントの存在神学批判を継承するシェリングの積極哲学が、フランスにおいて、存在神学的ではない形で無限を語る形而上学として受容されていること、また、シェリングによる、アリストテレスから中世にいたる哲学史の叙述により、存在神学とその批判が、哲学史を貫く主題であることが明らかになり、研究範囲が広がった。本年度(2023年度)の研究の主な実績としては、以下の三点が挙げられる。 1) レヴィナスの存在神学批判の検討において、アリストテレスを存在神学の端緒と捉えるレヴィナスの解釈が、アリストテレスをむしろ存在神学批判の論者として捉えるブルノワらの解釈と対立することがあらわとなったが、両解釈とも、第一動者の存在と世界内の存在者の存在を分離することに存在神学からの脱却を看取する点において、実は共通していることを示すことができた。 2) デリダのハイデガー読解(『理論と実践』)でなされる問題提起を受け、アリストテレスの第一動者は中世の哲学における作用因ではないとするハイデガーの解釈を、シェリングの哲学史叙述と照らし合わせて吟味した結果、存在神学と中世の哲学の結託の特徴を明確化することができた。 3) リシールによるシェリング『啓示の哲学』附論「積極哲学の諸原理の別の演繹」の読解において、いかなる意味で、シェリングは存在神学と手を切っているとされるのかを探究し、それがいかにリシール現象学へと継承されるのかを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度(2023年度)は、本研究において予定していたことではなかったが、海外から研究者が次々に来日し、彼らを囲むワークショップ、セミナー、シンポジウム等で研究発表を行うことにより、フィードバックを得ることができ、それが本研究への進展へとつながった。本年度の前半には、マルクス・ガブリエルを囲むシンポジウムで発表し、シェリングの『自由論』のガブリエルによる解釈を経由することにより、リシールのシェリング読解を、現象学という分野を超えて、ガブリエルの解釈との対話にもたらすことができた。さらに本年度の後半には、ジョスラン・ブノワの来日に合わせて開催されたセミナーで研究発表を行い、ブノワの初期の著作『カントと綜合の限界:感性的主体』を読み解くことにより、カント哲学の現象学的再構築という本研究の課題に新たな展開の見通しを得ることができた。また、デリダ、レヴィナスについての前年度からの研究成果も、論文として発表することができた(「不動の動者と作用因としての神 ―デリダ、シェリングを迂回するハイデガー技術論の読解―」、「レヴィナスの語りにおけるアリストテレスと存在神学――マイモニデスを背景に」)。さらに、これまでの本研究の成果の一つとして、『デリダのハイデガー読解を読む』を共編著にて出版することができたほか、ハイデガーのへーゲル読解に基づく時間論とレヴィナスの「痕跡」概念を接続する、デリダの『ハイデガー』講義での一節を論じた論考を、Levinas et Merleau-Ponty - Le corps et le monde(国際共著)への収録論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで本研究は、レヴィナス、デリダ、リシールを中心に扱ってきたが、本年度終盤の研究においては、カントの自己触発の思想を、ハイデガーを経由することなく、あるいはハイデガーに反して継承する、フランスの哲学者、ナベール、リクール、ブノワをも視野に含めるものへと広がった。なかでもリクールのカント読解(『時間と物語III』)は、カントの時間論を、その現象学的解釈に抵抗するものとして提示する点、また翻って、主観的時間を論じる現象学を、暗黙理に客観的時間を前提するものとして批判する点において、本研究の課題(カント哲学の現象学的再構築)の今後の展開に新たな考察を促すものと考えられる。ナベール、リクール、ブノワの自己触発論の考察については、次年度に論文としてまとめ、発表したい。
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