Project/Area Number |
18K12831
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University (2021-2023) Kitami Institute of Technology (2018-2020) |
Principal Investigator |
伊藤 敦 京都府立大学, 公共政策学部, 教授 (40435251)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2019: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 患者情報共有 / 同意率 / 医療情報ネットワークのWTP / オプトアウト付き2段階同意モデル / 医療モール / 経済的効果 / アライアンス / 広報 / 患者情報 / 経営分析 / 電子カルテ / 地域医療情報連携ネットワーク / 診療所医療 / 医療の機能分化と連携 / AMR対策 / 経営戦略 / 機能分担 / 医療連携 / 地域医療ネットワーク / 診療の質 / 患者満足度 / ネットワーク診療 / 医師の診断感度 / 患者情報の共有化 / 機能強化 / プライマリ・ケア / フリーアクセス / 利用者意識調査 / 利用者評価 / コンジョイント分析 / 意識調査 / 機能強化政策 / 患者志向 / 医療情報の共有化 / 低費用 / 良質な医療 / 低医療費と良質な医療提供 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は低医療費と良質な医療提供の実現に向けたプライマリ・ケアの機能強化方法を解明するために以下2つの研究に着手した。 まず、プライマリ・ケアの価値向上には、患者情報共有のためのインフラ整備とその運用管理の強化が不可欠である。そこで、地域医療情報連携ネットワーク(以下、ネットワーク)における広報機能の強化が患者認知の向上とネットワーク事業の成長に資するのかについて検討した。全国144箇所のネットワークを対象に調査した結果、広報機能が患者登録や医療機関の加入促進を説明する要因として確認できたものの、その影響はより微弱であることが明らかになった。 次に、診療所のアライアンスとして医療モールに着目し、利用者側の受容可能性を把握するためにオンライン調査を実施した。インターネット調査会社に登録するモニタ-を対象に県別、性別、年齢別に割付した2000人を有意抽出した。その結果、医療モールの認知度は32.1%、受容可能性は46.9%であったが、確実に経済的なメリットが得られる場合、その受容可能性は65.0%と18.1ポイント高くなることが判明した。主なメリットは近所にあること、通勤、通学の途中や、何らかの用事のついでに利用することができること、 ワンストップ(一箇所)で様々な診療科のサービスが受けられることであるが分かった。これらの研究成果は、プライマリ・ケアの充実強化に資する情報と知見を提供しうるものと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主に2つの研究成果を残すことができた。第1に、プライマリ・ケアを充実強化するためには、患者側の過度な行動規制により需要抑制を目指すのではなく、診療所体制の経営力強化によって供給力を向上させる方向が実現的である。そこで診療所の垣根を超えて患者情報を円滑に共有するための戦略としてネットワークの広報強化が登録患者数と加入医療機関の加入率に及ぼす影響を検証したことからプライマリ・ケア政策に寄与する重要な成果を残すことができたと言える。 第2は、診療所のアライアンスとして医療モールに着目し、利用者側の受容可能性を調査したところ、受容可能性は46.9%であったが、確実に経済的なメリットが得られるならばその受容可能性が65.0%まで高くなることが明らかになったことである。これは従前の医療モールからネットワーク診療を導入した次世代型の医療モールへと移行することでプライマリ・ケアの機能強化に資する可能性があることを示唆するものと読み取れる。以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響により、医療機関や医療現場の混乱の影響が残存していたことに加えて、外来患者の自粛行動の影響により、とりわけ診療所の経営状況が悪化していた。こうした事情から令和5年度は医療モール向けの事業者調査から患者情報共有のためのオンライン調査の実施に研究計画を変更し、全国規模の調査を実施することができた。そこで、令和6年度は、本調査結果を活用してデータ解析に着手するとともに研究成果を報告する計画である。第1に、患者情報のオンライン共有の際に発生する患者同意コストの高さの改善に向けて、オプトアウト付き2段階同意モデルを提案し、その効果を検証する。これにより、同意取得に関する効率性と質を高めることが期待できる。第2に、このネットワークの利用価値を解明するためにWTPを調査したので詳細を分析する。患者情報共有の利用価値を明らかにすることができれば、ネットワーク規模や公費投入の是非を検討することに寄与する。最後に、医療モールの受容可能性の詳細に分析する。今回の調査では経済的なメリットが得られる場合、受容可能性が高まることが示唆されたが、具体的にどのような要因をメリットと感じているのかが不明瞭である。患者情報の効率的な共有方法を解明することを通じて、プライマリ・ケアの機能強化に貢献することを目指したい。
|