Project/Area Number |
18K13442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
加藤 孝盛 佐賀大学, 理工学部, 講師 (50620639)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 分散型方程式 / 非線形 / 初期値問題 / 適切性 / 可積分系 / 分散形方程式 / 調和解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究題材は, 非線形分散型方程式に対する初期値問題の適切性の解明である。本分野は, 1993年にBourgainが提唱したFourier制限法を皮切りに目覚ましい発展を遂げている。一方で, 線形化方程式の解の摂動として捉えられないような非線形項を持つ方程式に対する研究はそれほど多くない。今年度, 申請者は, 高い対称性を有し, 可積分系に類似した特徴を持つ5次修正KdV型方程式と3次Benjamin-Ono(3次BO)方程式を周期境界条件下で考え, その適切性の肯定的解決を試みた。これらは線形化方程式の解の近似として扱えない非線形項を持つが, 特異性の強い非線形相互作用は共鳴部分に集約される。特に微分の損失を持つ共鳴部分は, 方程式の持つ対称性により明示的に局在化されるため, 保存量を用いた変換により相殺できる。また残りの非共鳴部分に対しては, normal form法により, 分散性による平滑化効果が得られる。上述の手法により, 5次修正KdV型方程式に対し, 逐次近似法の臨界となる正則性の指数における適切性と無条件一意性を示した。またその臨界指数に起因する非線形相互作用が本質的に一種類に限定されることから, 正則性の観点において, この方程式と修正KdV方程式の特徴が酷似していることが分かった。3次BO型方程式は, 半線形方程式であるため, 共鳴部分だけではなく非共鳴部分の特異性が強いことも問題となる。これは, ゲージ変換により方程式を変形することで解消されるが, 元の方程式の未知関数が実数値であるのに対し, 変換後のそれは複素数値になるため, 方程式が持つ対称性を引き出すことが困難となる。そこで変換前と変換後の双方の方程式と行き来することで, 対称性が崩れていないことを確かめることにより, エネルギー空間における時間大域的適切性と無条件一意性を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初の思惑とは異なり, 5次KdV型方程式や5次修正KdV型方程式においても, 非共鳴部分の特異性が強いため, Guo-Kwon-Oh(2013)のような normal form法により現れる非線形項に対し, 統一的な評価を構築することが難しいことが判明した。これは非共鳴部分に対して, Fourier制限法が機能しないことと強く関連している。特に自明な因数分解を持たない振動項を扱うため, 共鳴部分と非共鳴部分を厳密に分類することが難しくなり, normal form法によって現れる各非線形項に対して個別の評価が必要になる。そのため, 厳密な証明を与えた非線形評価の構築は完了しているが, 系統的に論文としてまとめるのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究業績で述べた結果を基に以下の研究を進展させる。 1. 5次修正KdV型方程式は, 一種類の非線形相互作用を除けば, 逐次近似法の臨界よりも低い正則性の指数で多重線形評価が成立する。これは修正KdV方程式においても同じ状況であり, Takaoka-Tsustumi(2004)は, 修正KdV方程式に対し, 線形摂動から方程式のflowのずれを加味したFourier制限ノルムを用いることにより, コンパクト性の議論から, 逐次近似法の臨界よりも低い指数で適切性を示している。この手法の5次修正KdV型方程式への応用を試みるが, 問題はnormal form法で書き換えた方程式に対して, Fourier制限法が機能するように関数空間を設定することである。 2. 3次BO型方程式に対して, エネルギー空間における適切性と無条件一意性を示したが, 逐次近似法あるいは無条件一意性の臨界(非線形項が超関数の意味で定義できる臨界)の正則性とはギャップがある。そこで, Benjamin-Ono方程式に対して, Mosincat-Pilodが導入したnormal form法とrefined Strichartz評価を組み合わせる手法を応用することにより, このギャップを埋めることを試みる。 3. まだ多くの障害が残っているが, KdV階層に属する一般次数のKdV方程式に対する初期値問題の適切性, 特にエネルギー空間における大域的適切性を明らかにする研究を持続する。
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