Economics of network and family in rural Turkey
Project/Area Number |
18K14530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 41010:Agricultural and food economics-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
草処 基 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90630145)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | トルコ / 社会的ネットワーク / 社会規範 / 家族の経済 / ネットワーク / 農家世帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
途上国の農村社会に住む人々は、社会的ネットワークを利用して経済活動を営んでいる(ネットワークの経済学)。農村社会の規範もまた、家族内の労働配分など、個人の厚生に直結する経済活動に影響を与えている(家族の経済学)。社会規範の強い農村においてネットワークが世帯の厚生に与える影響を評価するためには、社会規範を考慮した包括的な分析が必要である。本研究は、伝統的に家父長制家族制度を有し、かつ、社会的ネットワークが農村内の農家・労働者階層の形成、階層間の雇用契約、生産物の販路の形成などに大きな役割を果たしていると考えられるトルコ共和国アダナ県の農村社会を対象とする。家計調査を実施 し、ネットワークの経済学と家族の経済学の二つの視点を統合させた実証研究を行うことにより、社会的ネットワークの多寡が、社会規範のもとで農村世帯の生計戦略や農村内の不平等に及ぼす影響を包括的に評価する。 2018年度に、調査地域において社会的ネットワークや家族制度が実際の農家行動と密接に関係しているのかどうかを確認することを目的として、現地で予備的調査を行った。予備調査の結果を受け、①階層の形成、②労働契約、③生産物の販路の形成、④生計戦略に関する調査を実施する計画を立てた。しかし、2019年度以降、新型コロナウィルスの流行、2023年2月に発生した大地震の影響でアダナ県での調査を実施することができなかった。現在は、2023年度中に調査が実施可能であるか、トルコ側の研究協力者とコンタクトを取りながら、状況を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネットワークの形成が不十分でかつ家父長制家族制度の影響を受けやすいと考えられる若手農業者の状況を把握するために、予備調査として2018年の9月に若手農家支援政策の受給者に対して聞き取りを行った。調査においては、支援政策の情報源、支援政策への申請理由、支援後の家族全体の農業経営・農家経済の状況変化、支援後の自身の能力及び農家経済全体に果たす役割の変化等について聞き取りを行った。 調査の結果、ネットワークの形成状況により情報の取得源が異なっていること、女性受給者の農業経営への関与の在り方に家父長制の影響が見られることなどの示唆を得ることができた。予備調査実施時点では、次年度以降の調査方針として、若手農家を中心にサンプルを収集する方向性を検討していた。しかし、若手農家支援政策の受給者の絶対数が少数であるために、統計分析に十分な数のサンプルを収集するためには農業省との連携が必要となるが、政策の変更や人員の配置換えなどにより協力体制を継続的に構築することにはリスクが伴うことが、予備調査実施後の2019年3月にアダナ県を訪問した際に行った研究協力者とのミーティングで明らかになった。 このため、次年度以降は調査対象者を限定しない形で調査を行うこととした。2019年度は、予備調査の結果を受け、①階層の形成、②労働契約、③生産物の販路の形成、④生計戦略に関する調査を実施する計画を立てた。これらの項目を調査するための調査票を作成し、トルコ側の研究協力者と2020年3月に調査を実施する体制を整えた。しかし、新型コロナウィルスの流行のため、直前になりアダナ県での調査を断念せざるをえなかった。現在まで新型コロナウィルスの影響及び2023年2月に発生した大地震の影響調査の実施が困難な状況が続いており、進捗状況はやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までに実施することができなかった、アダナ県での家計調査を実施し、以下の内容についての情報を収集する。 ①階層の形成:アダナ県の灌漑農村地域では、大規模農家層と移住者を中心とした農業労働者層に階層が分化しているが、移住者の中には農地を獲得し農業経営者となる者も存在する。移住者が農家として定着する過程に着目し、移住先でのネットワークの形成と、農地市場へのアクセスにネットワークが果たす役割について情報を収集する。② 労働契約:アダナ県の農業労働市場は季節雇用労働市場と年雇用労働市場に大きく分けることができる。季節雇用労働市場では仲介人が大きな役割を果たしているが、年雇用契約の多くは仲介人を通さないため、農家・労働者間のネットワークが季節雇用に比べより重要となると考えられる。農家・労働者間のネットワークを季節労働者と年雇労働者で比較するための情報を収集する。③販路の形成:条件の良い販路の形成は農家世帯の収入向上のために不可欠であるが、農村社会では販路の形成にネットワークが影響を与えていると考えられる。④生計戦略:家長の女性労働に対する態度を数値化することを目的として、イスラムに基づく社会規範や家父長制への意見についてのデータを収集する。 上記の家計調査によるデータ収集を用いて、4つの項目に関する分析を進めていく。
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Report
(5 results)
Research Products
(5 results)